タグ: <span>少年愛</span>

少年

少年愛文学選で少しだけ読み、文庫が出るということで買いに走りました。
川端先生の生涯はつらいし、好きな人が宗教に専念するのを、そっと距離を置いてみているところが切なかったです…

少年愛文学選

(作成中)

国家的・家父長的暴力への抵抗として生まれた、少年愛文学のアンソロジー。

個人的には「燃ゆる頬」が特に好きなのですが、青空文庫でも読めますのでぜひに…
プレパラアト覗くシーンでいつも悶絶しています。

乱歩先生の日記も好きです。美少年とのプラトニックな関係を、乱歩先生が惜しげもなく語ってくれます。ありがとうございます。
机の穴を通して触れ合うシーンが好きすぎて、何回か読み返しています。ありがとうございます。

山崎俊夫「夕化粧」
折口信夫「口ぶえ」
江戸川乱歩「乱歩打明け話」:乱歩先生の恋日記。
倉田啓明「稚児殺し」
木下杢太郎「少年の死」:主人公の少年は、年上の先輩の稚児。でも先輩は、少年のお姉さんが好きみたいで…
武者小路実篤「彼」
稲垣足穂「RちゃんとSの話」
堀辰雄「燃ゆる頬」:男子、理科室、先輩…もう分かりますね…?
大手拓次「沈黙の人」:切ない失恋のお話…
村山槐多「ある美少年に贈る書」:槐多先生が好きな子に送った赤裸々すぎるお手紙。
川端康成「少年(抄)」※文庫あり
中井英夫「夕映少年」
塚本邦雄「贖」:1ページしかないのですが、破壊力がすごいです。続きどこ!!!! 父と関係を持った男が、息子のぼくにも手を出してきた、みたいな話…?
春日井建「未青年(抄)」
高原英理「青色夢硝子」

給仕の室-日本近代プレBL短篇選

Twitterで見てずっと読みたいなと狙っていた本です。
本当に全作品よくって、読むのに体力が要りました(1つ読むごとにクソデカため息&床突っ伏しを余儀なくされるため)
個人的に特に好きなものを…

Ⅰ部は「若衆歌舞伎」からの「執念」が好きです。
「執念」は「若衆歌舞伎」の作者(原稿を偽装して実刑判決受けてるとのこと)をモデルにしていて、順番に読むと2作品の繋がりが分かります。
「執念」の主人公は、「若衆歌舞伎」の作者が危ない人だと分かってるのに、離れられない美少年という設定で、なんて切ない話なんでしょう…好きすぎる。
終わり方も切ないのですが、最後の一文で完全に落とされてのたうち回りました。

Ⅱ部は「過去世」ですかね…
母親不在の特殊な家族(父・兄・弟)で、衝撃のラストです。弟が女嫌いのお耽美美少年で、父や兄とのやり取りが妖艶に描かれています。
たぶん、長野さん作品の初期お耽美兄弟(夜啼く~、夏至南風、魚たちの離宮とか)が好きな人は絶対好きなんじゃないかな…と勝手に思います(私が好きなため)
女性作者というのも影響しているかもしれません。

また、「泥棒と若殿」は読みながら泣いてしまいました。身分差と人情とで胸がいっぱいになり…最後にふさわしい作品でした。

【個人的印象メモ】
Ⅰ部:衆道、小姓・稚児、男色、少年愛など
秋田雨雀「同性の恋」:病死した美しい友人との思い出を追想する。友人が主人公を傍に置くのは理由があって…
日下シン「給仕の室」:美男子純太への、主人公の止められない愛情と劣情
倉田啓明「若衆歌舞伎」:美少年2人が美を探求
山崎俊夫「執念」:上記「若衆歌舞伎」作者モデル。暴力と嘘から逃れられない主人公。
木下杢太郎「船室の夜」:田舎から上京した主人公の、美少年への恋と身の破滅(不良と仲良くなってしまう)
室生犀星「お小姓児太郎」+「美小童」:お小姓児太郎と、それに仕える髪結少年+美しい童が忘れられない主人公
綿貫六輔「小松林」:お爺さんを愛する軍人、お爺さんの愛人との関係でも悩む
Ⅱ部:友愛
国木田独歩「画の悲しみ」:自分より絵が上手い美少年への嫉妬と友情
田中貢太郎「野薔薇」:敵国同士のおじいさんと青年の友情
小川未明「ある神主の話」:漁師の男と、突然現れた小柄な男との友情。実は小柄な男は人外で…
岡本かの子「過去世」:女性の作者が友人から過去の話を聞くという語り口。昔、母親のいない家に預けられていた時の話。父:癇癪持ちで女嫌い、弟を可愛がりずっと傍に置いている・兄:父と弟から使用人に近い扱いを受けている・弟:美男子だが女嫌い
豊島与志雄「死ね!」:貧乏なため働き詰めの主人公と、働かずに借金をしている友人の話。
太宰治「駈け込み訴え」:イエスへの嫉妬心から裏切るユダの独白
山本周五郎「泥棒と若殿」:お家騒動で幽閉された若殿と、そこへやってきた泥棒の友情

編集の方のツイートで「少年愛文学選」(平凡社)を意識されていたというのを見て、なるほどなと思いました。
「少年愛文学選」から漏れてしまったような、どうしようもない加虐性・被虐性を中心にまとめられていると…
なのでハードめな作品が多いのですが、それもまた切ないというかやるせない気持ちを誘って、読むのに体力が要ったのだろうと感じます。

(「執念」は権利がどこにあるか分からなかったっぽくて、裁判所で確認までしていただいて…文庫で気軽に読めるようにしていただいて有難さしかないです…)