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新・悦樂園園丁辭典

反歌を伴ふ瞬篇小説集

数ページの短い小説集。
数ページで決着がついてしまうので、書けることだけ書きます…

【収録タイトル】薪*/酢/漣*/凪*/蠍/菓*/臙/水*/雁/窖*/鳥*/贖*/螢*/樹/杉*/栂/樅/梢/針
*=男色表現あり(私的判断)

「薪」
【登場人物】
瑠璃生(るりお)
望月兵衛:古代美術専門、瑠璃生の父の愛弟子。
ドメニコ・フォッリ:シエナ出身。瑠璃生の父。
もゆら:瑠璃生の母。
七重:瑠璃生の従妹。

「酢」
塚本邦雄の、女性強い作品の極み。
【登場人物】
きりゑ:祖母。瓶細工と押絵の師匠。
みさ:母。一中節の名手。
麻利:姉。
桐人:27歳。

「漣」
「洪水で亡びた地には紫陽花が茂るといふ。」から始まり、氾濫の時に生き別れた友が、若い美貌のまま手招きをする。

「水」
父親×息子?切ない…

「鳥」
昔の男の忘れ形見(息子)が現れる。
【登場人物】
四方木(よもぎ):神主。
鷹合(たかあい)

「贖」
初読「少年愛文学選

「螢」
少年院の監視者が、変装して50人の少年の中に混ざろうとする。


悦樂園園丁辭典

小説と評論が入り乱れているような形式。

【収録タイトル】#狄*/巫/胎/#葩*/#渇/銀/釵/蘗/影/蛾/嬰/妹/蠱/#膚/蘂/獸*/笛*/銃/#臍*/星/香*/謎/色*/嚢*/菊*/罰/髭*/幹
*=男色表現あり(私的判断)
#=小説っぽい

「狄」
亡くなった妹の取り巻きの一人の男と、危ない関係になってしまう兄の小説。
男はデザイナーで、兄のアイデアで有名になった。
兄はいけないと思いながらも、沼から抜け出せない…クソデカ感情が最高です。
妹が病気で大変な時に、枕元で二人で話す時間によろこびを感じちゃう兄よ…

「胎」
写真に関する話。

「釵」
モナリザ、ダヴィンチの話。

「蛾」
紺青のわかれの「与那国蚕は~」にもつながるような、蛾嫌いの話。女性は蝶になるものもいれば、蛾になるものの方が多い、蛾は嫌いだ、と。

「嬰」
マザー・グース、カニバリズムの話。

「蘂」
花・両性具有の話。

「笛」
稚児・衆道の話。

「臍」
美丈夫が拷問に合い、大変なことになる小説。

「星」
十二神将変のような、星になぞらえた庭の構想。

「香」
香りについて。特に、男の腋の香りについての並々ならぬ…

「嚢」
男性の陰部の話…?

「菊」
後鳥羽院と菊(=男)の話。

「罰」
拷問の話。

「髭」
髭に対する並々ならぬ拘り。


彩辭學

【収録タイトル】酣/木/涼/荷/桐/颶/露/檻/燈/轉/映/沈

全編、実話のような小説のようなお話。最後には短歌が添えられています。
「露」が、切なくて一番好きでした。偶然出会った青年を、数年後に探す旅…


詞繪歳時記

【収録タイトル】馬/梅/桃/寂/菖/氷/扇/盆/陽/夢/錦/臘

美しい文章で一年を描く歳時記。


新・悦樂園園丁辭典 跋 薔薇落胤

あとがき、制作秘話のようなもの。

うつろ舟

古書店で単行本を購入。装丁が本当にかっこいいし、文字が緑色のインクで刷られています。
大変にえっちなのですが、お耽美な日本昔話という印象です。伝われ。

全部面白いです。
以下、非常にざっくりなあらすじです…

護法

主人公の男は、周りからバカにされがち。
ひょんなことから不思議な力を持った神様(護法童子)と仲良くなり、「女房の顔を美人にしてほしい」と男は依頼する。

護法童子は了承したものの、「美人の顔を手に入れるために、お前の男根を貸して欲しい」と言い…
数日後に帰ってきたとき、男が密かに想いを寄せていた女の首を抱えていた。

魚鱗記

お酢を入れると色が変わる不思議な魚がおり、それが最後どれだけ跳ねるかが賭け事として流行している時代があった。
その賭け事の会場としてかつて利用されていた屋敷には、夜な夜な長女の霊が現れる。
長女はどうして亡くなってしまたのか…?

花妖記

舶来品を高額で売り生活している男が、酔っ払いの武士に絡まれる。
武士に「買うから商品を見せろ」と言われ、武士をからかおうとした男は、小さな卵型の石を見せる。

「これを女の秘所に入れると、感じない女はいない」と男。
「では、俺の女に試して感じなければ、その石をくれ」と武士。

女の家に向かうのだが…

髑髏盃

盃を集めるのが趣味の盲目の男が、髑髏で作った盃が欲しく、有名な武将の墓を暴こうとする。
そこから不吉な現象が発生するようになり…

菊燈台

三十人あまりの下人を使い、塩の生産をする長者がいた。
下人の中に美青年がおり、労働が嫌で逃げ出してしまう。

美青年はすぐに捕らえられ、折檻を受けることになる…

衆道表現があります。

髪切り

武士の家に一人娘として生まれ、男のように育てられた女性が、江戸の大火を機に世間を見つめ直す。
そんな時、家の前に謎の男が現れる。

うつろ舟

田舎の漁村に、金髪碧眼の異国女性を乗せた「うつろ舟」が漂着する。
村から出たことのない十六の少年・仙吉は、その舟が気になり、夜中に海へ出かける…

ダイダロス

鎌倉の海には、大きな船が朽ち果てていた。
かつて将軍家が宋へ渡るために造らせたものだが、結局使われず砂浜に埋まったままだ。
将軍の御座所となるはずだった場所には、美人の繍帳がかかっており、実朝の帰りをずっと待ち続けていた…
(ちょっぴり男色っぽい表現あり)

塚本邦雄全集〈第7巻〉小説(3)

戀 上・下

短歌の解説・短編小説・詩の3点セットがなんと50作品も。
小説もすべて設定が凝られていてすごいです。
下記、小説の内容までは書けませんが、私が読書用につけていた登場人物メモ50作品分です。

★つけてるものはお察しください…
特に好きなものは↓
⑩別戀:兄と妹で同じ男を好きになる。兄が好きな男を独占しててヤバイ。
㉕旅戀:兄弟のように愛していた男と死別、真相を探るべく事故現場に行くと、自分宛てに出されていない手紙が…
㉟寄橋戀:工事現場に実習生として来ていた院生と、現場の副班長のお話。副班長がいい男過ぎて惚れる。幸せになって欲しさは随一。
㊲寄木戀:従兄弟です。従兄に女友達を紹介したらいい感じになってしまい、従兄への恋心に気付く従弟が切なくて…

①初戀
狩野菫介
春菜:姉。三人の子持ち。
志賀:春菜の夫。薬剤師。
高折未紀子:菫介の家庭教師。春菜の級友。
沖津:未紀子の夫。不動産会社社長。
珠藻:娘。

②忍戀
三室(みむろ):挿絵画家。
杉島:元サッカー選手、今は図書館勤め

③聞戀
鹽崎
藻谷渚(なぎさ):鳩の引き取り先夫人。
鍾(あつむ):渚の主人。二年前に亡くなっている。
安食橙子(あじきとうこ):女子大生。

④見戀
九朔(きゅうさく):料理学校教師。(文化史)
深香子(みかこ):女房。料理学校教師。(懐石料理)
鳴尾:友人。料理学校経営者。
若槻夫人:生徒
慧子(けいこ):娘
柿谷:鳴尾の甥。農学部の院生。

⑤尋戀
菅生:家具の商社?の跡取り息子。
太刀掛夫人:「マンション明日香」の住人。
御厨やすら(みくりや):クラブで菅生が出会った女。
神邊:家具メーカー専務。

⑥祈戀
葉室
曜子:付き合いたての恋人
日向:友人
四谷:警官。
初島研作:フィルムを届け出た人。
三輪子:姉。拾った人。

⑦契戀
南條:素人カメラマン。
蔦子:ヌードモデル。

⑧待戀
兄弟は二歳差
欽二:兄姉弟妹に挟まれた真ん中。
聖吉:欽二を溺愛。
翔一(25):長男。口が悪い。理学博士。
十芽子(とめこ):長女。美人。
環:欽二の本当の母。父は産婦人科医。

⑨遇戀
狭山:唯一の独身。

園田
夏井
祝子(のりこ):社長令嬢。
薬師寺桃子:祝子の先輩デザイナー。

⑩別戀★
笹島
松瀬:潔癖。魔法瓶メーカーで笹島とペアの営業。
嶺子:松瀬の妻。兄は笹島・松瀬の友人。
兄は笹島を独占した。

⑪顕戀
蕾太(らいた):アフリカのクオーター
有子
花房:有子の姉の内縁の夫。

⑫稀戀
三人の女のおもいで
眞木和音
吉備遙子(きびえうこ):盲目の少女
田中徳子

⑬絶戀★
吉水珠音:27歳。15歳の時から男手ひとつで育てられた。
眞冬:父。古典調度研究家。
鳥越:眞冬の唯一の弟子兼助手。
眞砂:叔母

⑭恨戀★
混血美少年を養子にし、尻に敷かれてる社長。
飯倉
雪上左吉子(ゆきがみさよこ):あだ名は鱵(さより)。菖蒲アートデザイン工房の企画外交部門。
菊岡:制作部門チーフ
菖蒲昇華:社長

⑮舊戀
淺見結子(ゆふこ)
槇夫:夫。
清洲四帆子:近所。
一重(ひとへ):千鶴の娘。
桐原檣二:四帆子の弟
舷一:兄。結子の元恋人。

⑯暁戀
翔太(24):喘息持ち。女性を前にすると痙攣する。
鎬太(45):父親。
栃原衣繪:バレエ
千鹿(ちか):老婢(年をとった女中)
香澄(かすみ):母
鞠繪

⑰朝戀
眞潮
奈帆子

⑱晝戀
星子(せいこ)
龍田
辰子:龍田の妻、星子の妹。
香鶴(かづ):母

⑲夕戀
息子と娘が恋人、両親同士もできてる
東子(はるこ)
季久:東子の母
柿坂凜
剛:凜の父

⑳夜戀
星山:苑代の兄の友人。
苑代
花崎鴻志:苑代の兄。質屋を継いだ。
喜多道子:親友。

㉑老戀
海阪寓紫奈子
露木六朗:ゴルフクラブのマネージャー

㉒幼戀
鹽川學:主人
新生(あらお):長男
麥子:姉
光(ひかり):妹
遊見子(ゆみこ):鹽川家の隣人。
綺衣子(きえこ):遊見子の母。

㉓遠戀
喬子(けうこ)
六實(むつみ):喬子の従妹。
森上龍視:喬子が好き。
伊倉:六實の夫。

㉔近戀
首藤
千萩:妻。
宮津微幾子(みきこ):向かいの部屋

㉕旅戀★
「よく君の夢を見る。」というのが悲しい。しんどい。
高來曜策
筧:高來が兄弟同様に想っていた。バスの転落事故で亡くなる
菅沼希志:母
景子:娘

㉖寄月戀
「ルナ・ロッサ」
衣巻:作曲家志願、企画・仕入れ担当
鳥越溢子(いつこ):旧姓蒔田。祖父の代から「ルナ・ロッサ」を経営する家系。
朝穂:溢子の夫。顧問。
二井・藤崎・多摩:彫刻家を志す制作担当
北垣・緋紗:俳優修業、売り子

㉗寄雲戀
立花
香矢子(かやこ):立花の妻。
木原悦二:立花の隣家の息子。
壽恵:悦二の母。

㉘寄風戀★
少女だと思ってたら…?!
桃山:砂絵絵師。
満李(まり):妻
美音(みね):娘
壬生玻瑠子(みぶはるこ):弟子志願の少女。

㉙寄雨戀
勝浦:鈍感で変わり者と笑われてしまう。
貫名漾子:勝浦の取引先の社長令嬢。
洸子:姉。
志夏子:母。

㉚寄煙戀
興津
綺羅:興津の妻。
青垣沙羅:妻の妹。
神尾壮途

㉛寄山戀★
女に復讐する二人の男。清原氏(お父さん)がいい人!!
檜垣
諫早
清原敦子

㉜寄海戀
辛崎:獣医
園子:妻
二井:獣医仲間の老人
槇原:島の住人

㉝寄河戀
秋澤創六
佳音子:姉
楢木杉右(すぎすけ):佳音子の夫。
咲代:杉右の妹。

㉞寄關戀
鈴子
初穂:娘

㉟寄橋戀★
古賀:現場監督
首藤:班長
吉備:副班長。優しい。

㊱寄草戀
青柳衣素子(いそこ):女中
大澤銀造:主人
徳代:夫人
八珠子(やすこ):娘
亥助:息子
韮山:俄か顧問弁護士
篠原:八珠子と婚約中の御曹司。

㊲寄木戀★
菅沼克典:父と妾の子。
速人:克典の従兄。
輝一:克典の伯父。(父の兄)
布恵:速人の母。
相馬梢:克典が惚れた歯医者の娘。

㊳寄鳥戀★
三羽ガラス。仲良すぎて彼女ができない。
高尾:銘茶卸問屋
不破:新聞社
三好:スーパーマーケットの事業部
住吉:漆器商の娘
味原:陶磁器店の女秘書

㊴寄獣戀
春菜(はるな)
惠示:春菜の夫。
颯也:息子
凱歌:義弟

㊵寄蟲戀
讃作
葭子(よしこ)
研志(けんし):鳥海家に置き去りにされた養子。
鳥海鮎子:隣人。
清朗:主人。

㊶寄笛戀
牧岡高也:音楽家を夢見ていた
彌矢:高也の妻
鶴代:縞太郎の嫁
鎬太郎:高也の息子
幹一:縞太郎の息子
鋭二:縞太郎の息子
三品:幹一の学校の音楽の先生

㊷寄琴戀
諏訪
牧子;妻
濱名美堊子:牧子の教え子。

㊸寄繪戀
那須諏訪?:画家
眞砂:眼を患っている
浦子:眞砂の妹

㊹寄衣戀
棟上
森子:娘
水上:森子の恋人

㊺寄席戀
星野
瀧上:紙漉き職人
奈緒子:娘
梢一:兄

㊻寄遊女戀
菖子(しょうこ):
六郷:一か月前に出張に来た会社員
根津:居酒屋の主人。

㊼寄傀儡戀
腹話術師の二人。
理沙
加賀
松坂:裏方

㊽寄海人戀
初實(はつみ)
水戸虎生(とらお)
阿彌子:虎生の姉
笹川

㊾寄樵夫戀
葉矢子
室積飛郎
淵上:室積の友人。
綠:高校時代から名うての発展家

㊿寄商人戀
影子(えいこ):歯科医。
河越:影子に劫一を紹介した。
杉坂劫一:話すことが出来ない若者
三杉:影子の相方歯科医

黄昏に獻ず

男色表現あり→檻、陽轉、黄昏に獻ず、赤き雪の主題、鳰、(雄蘂變)、味蕾

黄昏に獻ず、赤き雪の主題、鳰、味蕾が特に好きです!

カニバリズム、主従要素あり。めちゃ怖い。

嵯峨子(さがこ):華晶の娘。
華晶(けしょう):海外旅行から帰ると人が変わってしまい、人の脳みそを食べる絵などを描くようになる。
壬生子(みぶこ):華晶の妻。
刀根(とね):従者。武骨な大男。

陽轉

ワーグナーの衆道の話をする。
ワーグナー詳しくないので出直したいのですが、なぞらえて七座に洗脳される空閑の関係性がお耽美です。

空閑(くが)
七座(ななくら):画廊の支配人。
紫磨子(しまこ):空閑の妻。

木賊刈

タイトル「とくさがり」
死に別れた妻の友人がやってきて、妻の秘密を暴露する。

檣作(しょうさく?):妻と死に別れ、独り暮らしの男。
品野朔子:檣作の家の前の持ち主。
速水文月(はやみふづき):檣作の元妻。亡くなっている。
更級侠右(さらしなきょうすけ):憧れの的。
公文遊岐子(くもんゆきこ):侠右の妻。
松生(まつお):侠右の息子。

昔に霞む

舅×妻ものです。雨の四君子にもあったような。
塚本さんお好きなんですかね、歳の差…

風間高氣:服飾研究家。妻と娘に厳しい。
風間英氣:高氣の父。60歳近いが若々しく、女受けが良い。
伊保子:高氣の妻。舅の英氣に惚れている。
羚子(れいこ):高氣の娘。
檜垣華江:高氣の元を訪れるデザイナーの卵。
夏川環:高氣の秘書的な存在の女性。

黄昏に獻ず

あかね(美女)→馬庭(イケメン)→青磁(美青年)
っていう最高の三角関係…
最後どこがくっつくかはお楽しみ…

雪室あかね(ゆきむろ):姉。スコーピオン。
青磁(せいじ):あかねの弟。タウルス。
葵予子(きよこ):姉弟の母。肺炎で亡くなっている。
馬庭三千輔(まにわみちすけ):姉弟とともに旅をする。父と呼んでいるが、実父かは不明。占い師。サジタリウス。

赤き雪の主題

手紙の形式で、ミステリー調です。
愛憎渦巻いています…男同士あり。

↓愛憎模様がネタバレOKな方は反転してください

鐵之介→さゐ子→沖星→映作←夏那子

*登場人物*
若宮さゐ子
映作:さゐ子の弟。燒津画塾に通っていた。目を患っている。
水島炯太郎:燒津の友人。
燒津沖星:画家で、すでに亡くなっている。
夏那子:燒津の妹。
瓜生鐵之介:さゐ子の恋人?
栗栖曜吉:燒津画塾の塾生。

まゆこもり

又従妹の家で見るお耽美な夢。
スッキリする終わり方。

馨子:「私」の又従妹

果物急ぎ

食べ物についてのお話?と思ったら、最後にどんでん返しが…
カレーのレシピがめちゃくちゃ美味しそう。

醍醐:秋象の同僚。
上牧秋象
千香子:秋象の妻。

有憂宮

女にヒモに仕立てあげられる男の話。
男が頑張って職に就こうとしても、女が裏で手を回している…

蕗澤:転職をしても上手くいかず、自分はダメだと思っている。
錫子(すずこ):ダメな蕗澤に追い打ちをかける。

反唇

妻が同窓会に行っている間、家にキリスト教を布教する女がやってくる。
夫が言い負かしてしまう、スカッとするお話。

明文:夫
敍子(のぶこ):妻
好文:息子。幼くして亡くなってしまった。

藍住が実は夏瀨が好きで、娘の朝江の顔に面影を見てしまい、この親子とは一緒に暮らせない…と思っているところが辛くて好きです。

藍住:布惠子と結婚を一瞬考えたが、思い留まっている。
布惠子:夏瀨に置いて行かれ、藍住と付き合うようになる。
朝江:布惠子と夏瀨の娘。
夏瀨:布惠子とは結婚せず、布惠子と朝江を置いて海外へ行ってしまった。

白馬

四人の兄(春生、夏生、秋生、冬生)に溺愛される、美人な妹(養女)のお話。
養女とはいえ妹にガチ恋するお兄ちゃん、切ないような何というか…
少女マンガみたいな設定で良いですね。

花穂:四人の兄に溺愛されているが、実の兄ではなく父親の友人の娘。
春生、夏生、秋生、冬生:花穂の兄。順番に一歳ずつ違う。
園枝:家政婦

桃夭樂

杏仁(種の中身)ばかり食う、偏食の男の話。

良夜(りょうや):偏食家
華實(かじつ):父
春鳥羽菊繪:良夜の妻。

空中伽藍

祖父と孫だけになった家系のお話。
漢文がたくさん出てきて難しいです…

篠宮龍陽(たつひ)
木兄(きのえ):龍陽の祖父。漢文学の第一人者と言われていた。
萱野(かやの):家事を仕切る嫗

水中斜塔圖

幹生と婚約した比差子、本当は亡くなった幹生の兄・海潮(うしお)が好きだった…
悲しくて怖い。

幹生:実家が牧場の次男。
海潮(うしお):幹生の兄。
比差子:織物で有名。海潮の恋人だったが、海潮が亡くなった後、求婚され幹生と婚約。

靑き菊の主題

初読「長野まゆみの偏愛耽美作品集

火宅搖籃歌

母親に復讐する男の話。

新枝錫也(にいえすずや)
磨璃:錫也の母。
鶴也:錫也の父。

網膜遊行

降旗は他の人には見えてないものが見える。
玉蟲は結婚する前に、愛人を必ず降旗に見せる。
最終的に玉蟲はどんな人を選ぶのか…

降旗喨嚠:眼に病気があり、光がちらつく。
玉蟲二黑:喨嚠の友人で眼科医。

雄蘂變

カッコイイ男の人がたくさん出てくる…!

柿沼
雲井八尋:転職を繰り返し、今度開く茶房について柿沼に相談する。人を懐柔する性格と美貌で、パトロン・パトロネスから資金をもらっている。

味蕾

仲良しな男二人がイチャイチャしている(?)話。
話が合い楽しそうなのですが、コーヒーで舌をやけどした時のシーンが良くてですね…にこ…

會津:保健所の医師。
杉谷:建設事務所の設計士。
どちらも35歳、二人の子がいる。

劇で狼を演じていた美少年に一目ぼれしてしまい、嘘をついても近付こうとする話。

左貴子
冬實:左貴子の友人。
右維子:左貴子の姉。
白根喬太:左貴子が一目ぼれした美少年。

夏至遺文

男色表現あり→受難、蠍の巣、異牀同夢、葡萄鎭魂歌、夏至遺文、霞の館、繪空、放生、二の舞、如月の鞭、鷹の羽違ひ、僧帽筋

特に好きなのは「異牀同夢」「二の舞」「僧帽筋」。「如月の鞭」もいいなぁ。全部いいです。
この収録作品は、後味悪めが多いです。

2023年6月に、河出さんから文庫が復刊となりました。
その際のプレゼンも合わせてどうぞ…!

ミステリー、ホラー寄り。ゾッとします。

受難

江戸時代?長屋者です。
タイトルから分かる通り、キリスト教要素も。
夢か現実かあいまいな幻想的な要素もあり、衆道要素もあり…

蠍の巣

ハムレットをもとにしたお話。
私は不勉強のためハムレットが分からず…勉強して出直します。

異牀同夢

めちゃくちゃ好きです…心中ものでもあると思いますが…

岸南とその後輩・國見は、岸南妻子に内緒で好き合っている。
お正月から似たような夢を見るようになり、やがて内容も全く同じ夢になっていく…

國見くんが岸南さんちに遊びに来た時に、先輩を起こして着替えを眺めていると、真っ赤になって目をそらすシーンが好きすぎてです。その時の岸南さんの男ぶり描写は、塚本さんらしい色気たっぷりのもので最高です!
また、夢が同じになりすぎて、もはや話すのもはばかられ、二人で煙草を吸って見つめ合うだけで通じ合っちゃう描写もまたお耽美で…素晴らしいです。

*登場人物*
岸南(きしなみ):休みはなかなか起きない、だらけた主人。36歳。
眞幸(まさき):岸南の息子。
苳子(ふきこ):岸南の妻。
國見(くにみ):岸南の後輩。28歳。

葡萄鎭魂歌

徹底した女嫌い力雄と、その親友・夏原の話。
力雄の女性嫌いは、母ではなく父と兄が作った弁当しか食べないということから始まり、動物もメスは嫌い、外国語も女性名詞を嫌うなどの徹底ぶり。そんな力雄に情が湧き、友人の夏原はそばを離れなくなる。
ラストシーンは切なく泣けます…

*登場人物*
紺田力雄:徹底した女嫌い。
夏原壮介:付き人のような親友。

夏至遺文

タイトルでお察しですが、ある男が「君」に宛てた遺言状のような形式。
「君」が妹にかけるべき愛の言葉を、「君」は「私」にかけてきた、という一文から方向性が変わります…

霞の館

亡くなった男の視点で書かれる、少しファンタジー要素があるお話。
男は惚れた男のために命を落とすのですが、その惚れていた男も、別の男に縛られ吸い取られ…

繪空

レオナルドダヴィンチのお話。
ダヴィンチのお話なので、必然的に男子の名前がたくさん出るのですが…
お耽美系のお話ではないです。

姉が遊びに出かける際、姉夫婦の家の留守番をする妹視点。
息子が物分かりがいというより、もはや悟りともいえる冷静な子。
その息子には、いろいろ真実がバレていて…

放生

主人と3人の美しい従者の話。
大心中です…

*登場人物*
犀太(さいた):23歳。沐浴や散歩の伴侶。
菜生(さいせい):料理担当、首の太い好漢。
彩介(さいすけ):チェンバロの名手。巨人。27歳。
霞門:主人。29歳。

二の舞

えっち…めちゃくちゃ、えっち…
お医者さん×患者ですって。もうすごい。
言葉遊びでえっちな感じが最高。

如月の鞭

家に突然やってきた鳥猟師と恋に落ちた男の話。
切ないです…
クリスマスイブに男の好きな料理をたくさん買って帰りを待つ主人公、健気すぎて泣ける。

鷹の羽違ひ

姉視点で進む、弟の結婚式前夜のお話。
親の勧めで見合い・婚約したものの、やはり弟は結婚したくないのか帰って来ない。
どうやら好きな男がいるらしい…

弟くんの相手って、教授?ですか…?誰か教えてください…

月落ちて

主人公の男が友人宅を訪ねると、共通の友人だった御影が残した絵暦を見せられる。
実は御影の妻と主人公は、不倫関係にあり…

最後のどんでん返しが衝撃的…

僧帽筋

初読「リテラリーゴシック・イン・ジャパン」。

賓客

母を亡くした娘の話。
可哀想すぎる。

大学に通う主人公と、祖母のお話。
言語学の学会に参加するのに絡めて、名の由来の話をする。

給仕の室-日本近代プレBL短篇選

Twitterで見てずっと読みたいなと狙っていた本です。
本当に全作品よくって、読むのに体力が要りました(1つ読むごとにクソデカため息&床突っ伏しを余儀なくされるため)
個人的に特に好きなものを…

Ⅰ部は「若衆歌舞伎」からの「執念」が好きです。
「執念」は「若衆歌舞伎」の作者(原稿を偽装して実刑判決受けてるとのこと)をモデルにしていて、順番に読むと2作品の繋がりが分かります。
「執念」の主人公は、「若衆歌舞伎」の作者が危ない人だと分かってるのに、離れられない美少年という設定で、なんて切ない話なんでしょう…好きすぎる。
終わり方も切ないのですが、最後の一文で完全に落とされてのたうち回りました。

Ⅱ部は「過去世」ですかね…
母親不在の特殊な家族(父・兄・弟)で、衝撃のラストです。弟が女嫌いのお耽美美少年で、父や兄とのやり取りが妖艶に描かれています。
たぶん、長野さん作品の初期お耽美兄弟(夜啼く~、夏至南風、魚たちの離宮とか)が好きな人は絶対好きなんじゃないかな…と勝手に思います(私が好きなため)
女性作者というのも影響しているかもしれません。

また、「泥棒と若殿」は読みながら泣いてしまいました。身分差と人情とで胸がいっぱいになり…最後にふさわしい作品でした。

【個人的印象メモ】
Ⅰ部:衆道、小姓・稚児、男色、少年愛など
秋田雨雀「同性の恋」:病死した美しい友人との思い出を追想する。友人が主人公を傍に置くのは理由があって…
日下シン「給仕の室」:美男子純太への、主人公の止められない愛情と劣情
倉田啓明「若衆歌舞伎」:美少年2人が美を探求
山崎俊夫「執念」:上記「若衆歌舞伎」作者モデル。暴力と嘘から逃れられない主人公。
木下杢太郎「船室の夜」:田舎から上京した主人公の、美少年への恋と身の破滅(不良と仲良くなってしまう)
室生犀星「お小姓児太郎」+「美小童」:お小姓児太郎と、それに仕える髪結少年+美しい童が忘れられない主人公
綿貫六輔「小松林」:お爺さんを愛する軍人、お爺さんの愛人との関係でも悩む
Ⅱ部:友愛
国木田独歩「画の悲しみ」:自分より絵が上手い美少年への嫉妬と友情
田中貢太郎「野薔薇」:敵国同士のおじいさんと青年の友情
小川未明「ある神主の話」:漁師の男と、突然現れた小柄な男との友情。実は小柄な男は人外で…
岡本かの子「過去世」:女性の作者が友人から過去の話を聞くという語り口。昔、母親のいない家に預けられていた時の話。父:癇癪持ちで女嫌い、弟を可愛がりずっと傍に置いている・兄:父と弟から使用人に近い扱いを受けている・弟:美男子だが女嫌い
豊島与志雄「死ね!」:貧乏なため働き詰めの主人公と、働かずに借金をしている友人の話。
太宰治「駈け込み訴え」:イエスへの嫉妬心から裏切るユダの独白
山本周五郎「泥棒と若殿」:お家騒動で幽閉された若殿と、そこへやってきた泥棒の友情

編集の方のツイートで「少年愛文学選」(平凡社)を意識されていたというのを見て、なるほどなと思いました。
「少年愛文学選」から漏れてしまったような、どうしようもない加虐性・被虐性を中心にまとめられていると…
なのでハードめな作品が多いのですが、それもまた切ないというかやるせない気持ちを誘って、読むのに体力が要ったのだろうと感じます。

(「執念」は権利がどこにあるか分からなかったっぽくて、裁判所で確認までしていただいて…文庫で気軽に読めるようにしていただいて有難さしかないです…)