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あほうがらす

「火消しの殿」「元禄色子」「男色武士道」が男色ということで…

特に「元禄色子」は、運命的で相思相愛で思わず涙が出る感動作でした。
これから父親とともに討ち入りに行く運命の少年武士と、かげま茶屋で評判の色子の恋…!!

半島

白水社『日本風景論』の中の、「半島」をテーマとした一冊。
日本各地の半島の中から、能登・九州(佐賀・長崎)・出雲で連想する話や、塚本さんが理想の半島を夢想したものなど、方向性は様々です。

「半島列傳」が小説のような形式で面白いです!

作中の物語は九割九分作り話だと後書きで書かれていますが、「中井英夫が編集部長の〇〇に投稿していた~」等、時々現実味が強い要素が含まれるので、どこまで本当なのか分からずドキドキします。それが先生の狙いなのさ…(手のひらの上で転がされる)

Peninsula

そもそも「半島」という日本語についての批判。
まず「はんとう」の発音が好きじゃないし、外国語の発音がいいとのことです。笑

能登半島

能登半島を訪れた時の、友人との会話の記録のようなもの?
能登のお祭りや、美しい地名についてのお話。

續・能登半島

能登半島で出会ったタクシー運転手「水守昭三(みずもりしょうぞう)」の話。
水守は三歳で母親と死別、母方の祖母と暮らししていた。水守の父親は別の女性と結婚していたが、その女性は子供が出来ないからだであったため、水守は父親のもとへ引き取られる。数年後に継母も亡くなり、後妻も数年で急逝してしまう。いよいよ懲りた父親は、水守の母方の祖母を呼び寄せるが…
少しホラー要素のあるお話です。

最後は少し義経の話が出てきます。
義経・弁慶の容姿について、美青年と巨人という世間のイメージは史実と違うのに、なぜ受け容れられているのか?という話が面白かったです。

再・能登半島

能登半島と、義経や後白河天皇などの歴史上の人物の縁を紐解いていく。
歴史を全然勉強していない私にとっては難しすぎて説明できずすみません(泣)

幻想半島圖

塚本さんの理想の半島についてのお話。理想の形も図で示されています。
地名や気候、名産など細かく決められていて面白いです。

半島列傳

半島で連想する人物についてのお話です。
形式は小説っぽいですが、「」はついていないです。

1.火の國半島

「火の國半島」は塚本さんが命名したもので、佐賀県・長崎県の辺りのこと。
その地域出身の二人の男性が登場します。二人は別々のお話です。

①池畑蜂太

若かりし頃、「阿朱尉(あしゅい)」のペンネームで短歌を投稿していたため、私(塚本)と交流があった。
長年音信不通であったが、ある日電話がかかってきて会うことになる。その際に聞いた半生が壮絶だった…

蜂太氏、リスのように目がくりくりとした、草食動物的な男で可愛い。

②黒木笹生

“私(塚本)”が若い頃に住んでいたアパートの隣人。映画館でバイトをしている二枚目半の好漢。人懐っこい性格で、私の家に上がり込んでは酒を飲み、自分の恋愛遍歴を得意げに語ってきた。だが、黒木のアパートに女性が訪ねてくることはなく、出入りするのは硬派な男性のみ。
そんな中”私”は、黒木の父親からの手紙を読んでしまう…

少し切なくて素敵なお話です。二人の関係性がとてもよい…!!
黒木が夜中に嘔吐している音が聞こえて、”私”が助けに行くシーンが最高です。看病し終わって落ち着くと”私”は部屋へ戻ろうとするのですが、黒木は甘ったれた声で「もう三十分だけゐてくれよ」と引き止める!!実家の父親から荷物が届いた後なので、精神的にキツイからなんです。
こんな弱いところを見せた黒木さんですが、裏ではかっこいい一面もあって、そこに”私”も感動しちゃうわけです。

ラストの黒木さんもめちゃくちゃ切なくてカッコイイです!!!好き!!!!!!!!

2.八雲半島

島根に住む歌人仲間・祝部常春と私が出会うところから始まるお話。
常春と従兄妹の家へ泊りに行くのですが、そこで大暴露大会が開催されます。

一番の衝撃が、父と叔母の夫は義兄弟だというし、何なら父は母も叔母も叔母の夫とも寝てたし、叔母の夫もそうしてたし、四人はいろんな組み合わせで遊んでいたと…なんてことだ。男二人だけで寝ることも…
というわけで、その子供たちは両親がどの組み合わせか分からないそう。可哀想すぎる。

関係性が入り乱れているので、分かりにくいですが相関図です。

祝部常春:黒髪長髪で、左目が弱視のため薄紫のサングラスをかけている。道楽者で女性にモテる。妻を悪性インフルで亡くし、妹を後妻に娶った。父親の後妻とも関係を持ったという話も…?

七瀬・八春:姉妹で、どちらもすでに亡くなっている。

勝輔:男が好きなため結婚できない?

淫月

絶版でネットではプレミアがついてしまっているのですが、古書市で偶然出会いまして購入。
短編7つ+長編1つです。

同性愛者の晩年を描いたものが多めです。時期的に福島さんもそれくらいの年齢のため、自伝風な印象も受けます。
舞台も地元・熊本、九州が多いです。年上好き・肥った人が好きな登場人物も多い印象。
ですが突然奇妙なことが起ったり、転生したりするので、現実と虚構入り乱れな感じです。

年上に無理矢理されちゃうシーンがいくつかあるので、苦手な方はご注意ください…

文章は分かりやすくて読みやすいです。熊本弁が出てきますが、注意書きがついています。
長編は登場人物のメモを取った方が良いです。

奇腹譚

肥った年配男性×若者

インドア大学生×日焼け田舎少年

晩夏

妻子不在時に羽を伸ばしたい男×未経験学生

陽炎

大学老教授×純朴そばかすタクシー運転手

冬野

白血病で亡くなったイケメン同僚×最後まで気持ちが言えなかった男

逝春

小説家になるために57歳で退職した男×藤蔓のように絡みついてくる青年

淫月

長編。天才画家が同性愛を知り、男をモデルに絵を描くなかで、自分の中から湧き出る熱と葛藤する。
年配男性と青年カップルも登場し、切ないです。

飛魂抄

有名な先生Y×昔Yのもとで書生をしていた男

うつろ舟

古書店で単行本を購入。装丁が本当にかっこいいし、文字が緑色のインクで刷られています。
大変にえっちなのですが、お耽美な日本昔話という印象です。伝われ。

全部面白いです。
以下、非常にざっくりなあらすじです…

護法

主人公の男は、周りからバカにされがち。
ひょんなことから不思議な力を持った神様(護法童子)と仲良くなり、「女房の顔を美人にしてほしい」と男は依頼する。

護法童子は了承したものの、「美人の顔を手に入れるために、お前の男根を貸して欲しい」と言い…
数日後に帰ってきたとき、男が密かに想いを寄せていた女の首を抱えていた。

魚鱗記

お酢を入れると色が変わる不思議な魚がおり、それが最後どれだけ跳ねるかが賭け事として流行している時代があった。
その賭け事の会場としてかつて利用されていた屋敷には、夜な夜な長女の霊が現れる。
長女はどうして亡くなってしまたのか…?

花妖記

舶来品を高額で売り生活している男が、酔っ払いの武士に絡まれる。
武士に「買うから商品を見せろ」と言われ、武士をからかおうとした男は、小さな卵型の石を見せる。

「これを女の秘所に入れると、感じない女はいない」と男。
「では、俺の女に試して感じなければ、その石をくれ」と武士。

女の家に向かうのだが…

髑髏盃

盃を集めるのが趣味の盲目の男が、髑髏で作った盃が欲しく、有名な武将の墓を暴こうとする。
そこから不吉な現象が発生するようになり…

菊燈台

三十人あまりの下人を使い、塩の生産をする長者がいた。
下人の中に美青年がおり、労働が嫌で逃げ出してしまう。

美青年はすぐに捕らえられ、折檻を受けることになる…

衆道表現があります。

髪切り

武士の家に一人娘として生まれ、男のように育てられた女性が、江戸の大火を機に世間を見つめ直す。
そんな時、家の前に謎の男が現れる。

うつろ舟

田舎の漁村に、金髪碧眼の異国女性を乗せた「うつろ舟」が漂着する。
村から出たことのない十六の少年・仙吉は、その舟が気になり、夜中に海へ出かける…

ダイダロス

鎌倉の海には、大きな船が朽ち果てていた。
かつて将軍家が宋へ渡るために造らせたものだが、結局使われず砂浜に埋まったままだ。
将軍の御座所となるはずだった場所には、美人の繍帳がかかっており、実朝の帰りをずっと待ち続けていた…
(ちょっぴり男色っぽい表現あり)

塚本邦雄全集〈第7巻〉小説(3)

戀 上・下

短歌の解説・短編小説・詩の3点セットがなんと50作品も。
小説もすべて設定が凝られていてすごいです。
下記、小説の内容までは書けませんが、私が読書用につけていた登場人物メモ50作品分です。

★つけてるものはお察しください…
特に好きなものは↓
⑩別戀:兄と妹で同じ男を好きになる。兄が好きな男を独占しててヤバイ。
㉕旅戀:兄弟のように愛していた男と死別、真相を探るべく事故現場に行くと、自分宛てに出されていない手紙が…
㉟寄橋戀:工事現場に実習生として来ていた院生と、現場の副班長のお話。副班長がいい男過ぎて惚れる。幸せになって欲しさは随一。
㊲寄木戀:従兄弟です。従兄に女友達を紹介したらいい感じになってしまい、従兄への恋心に気付く従弟が切なくて…

①初戀
狩野菫介
春菜:姉。三人の子持ち。
志賀:春菜の夫。薬剤師。
高折未紀子:菫介の家庭教師。春菜の級友。
沖津:未紀子の夫。不動産会社社長。
珠藻:娘。

②忍戀
三室(みむろ):挿絵画家。
杉島:元サッカー選手、今は図書館勤め

③聞戀
鹽崎
藻谷渚(なぎさ):鳩の引き取り先夫人。
鍾(あつむ):渚の主人。二年前に亡くなっている。
安食橙子(あじきとうこ):女子大生。

④見戀
九朔(きゅうさく):料理学校教師。(文化史)
深香子(みかこ):女房。料理学校教師。(懐石料理)
鳴尾:友人。料理学校経営者。
若槻夫人:生徒
慧子(けいこ):娘
柿谷:鳴尾の甥。農学部の院生。

⑤尋戀
菅生:家具の商社?の跡取り息子。
太刀掛夫人:「マンション明日香」の住人。
御厨やすら(みくりや):クラブで菅生が出会った女。
神邊:家具メーカー専務。

⑥祈戀
葉室
曜子:付き合いたての恋人
日向:友人
四谷:警官。
初島研作:フィルムを届け出た人。
三輪子:姉。拾った人。

⑦契戀
南條:素人カメラマン。
蔦子:ヌードモデル。

⑧待戀
兄弟は二歳差
欽二:兄姉弟妹に挟まれた真ん中。
聖吉:欽二を溺愛。
翔一(25):長男。口が悪い。理学博士。
十芽子(とめこ):長女。美人。
環:欽二の本当の母。父は産婦人科医。

⑨遇戀
狭山:唯一の独身。

園田
夏井
祝子(のりこ):社長令嬢。
薬師寺桃子:祝子の先輩デザイナー。

⑩別戀★
笹島
松瀬:潔癖。魔法瓶メーカーで笹島とペアの営業。
嶺子:松瀬の妻。兄は笹島・松瀬の友人。
兄は笹島を独占した。

⑪顕戀
蕾太(らいた):アフリカのクオーター
有子
花房:有子の姉の内縁の夫。

⑫稀戀
三人の女のおもいで
眞木和音
吉備遙子(きびえうこ):盲目の少女
田中徳子

⑬絶戀★
吉水珠音:27歳。15歳の時から男手ひとつで育てられた。
眞冬:父。古典調度研究家。
鳥越:眞冬の唯一の弟子兼助手。
眞砂:叔母

⑭恨戀★
混血美少年を養子にし、尻に敷かれてる社長。
飯倉
雪上左吉子(ゆきがみさよこ):あだ名は鱵(さより)。菖蒲アートデザイン工房の企画外交部門。
菊岡:制作部門チーフ
菖蒲昇華:社長

⑮舊戀
淺見結子(ゆふこ)
槇夫:夫。
清洲四帆子:近所。
一重(ひとへ):千鶴の娘。
桐原檣二:四帆子の弟
舷一:兄。結子の元恋人。

⑯暁戀
翔太(24):喘息持ち。女性を前にすると痙攣する。
鎬太(45):父親。
栃原衣繪:バレエ
千鹿(ちか):老婢(年をとった女中)
香澄(かすみ):母
鞠繪

⑰朝戀
眞潮
奈帆子

⑱晝戀
星子(せいこ)
龍田
辰子:龍田の妻、星子の妹。
香鶴(かづ):母

⑲夕戀
息子と娘が恋人、両親同士もできてる
東子(はるこ)
季久:東子の母
柿坂凜
剛:凜の父

⑳夜戀
星山:苑代の兄の友人。
苑代
花崎鴻志:苑代の兄。質屋を継いだ。
喜多道子:親友。

㉑老戀
海阪寓紫奈子
露木六朗:ゴルフクラブのマネージャー

㉒幼戀
鹽川學:主人
新生(あらお):長男
麥子:姉
光(ひかり):妹
遊見子(ゆみこ):鹽川家の隣人。
綺衣子(きえこ):遊見子の母。

㉓遠戀
喬子(けうこ)
六實(むつみ):喬子の従妹。
森上龍視:喬子が好き。
伊倉:六實の夫。

㉔近戀
首藤
千萩:妻。
宮津微幾子(みきこ):向かいの部屋

㉕旅戀★
「よく君の夢を見る。」というのが悲しい。しんどい。
高來曜策
筧:高來が兄弟同様に想っていた。バスの転落事故で亡くなる
菅沼希志:母
景子:娘

㉖寄月戀
「ルナ・ロッサ」
衣巻:作曲家志願、企画・仕入れ担当
鳥越溢子(いつこ):旧姓蒔田。祖父の代から「ルナ・ロッサ」を経営する家系。
朝穂:溢子の夫。顧問。
二井・藤崎・多摩:彫刻家を志す制作担当
北垣・緋紗:俳優修業、売り子

㉗寄雲戀
立花
香矢子(かやこ):立花の妻。
木原悦二:立花の隣家の息子。
壽恵:悦二の母。

㉘寄風戀★
少女だと思ってたら…?!
桃山:砂絵絵師。
満李(まり):妻
美音(みね):娘
壬生玻瑠子(みぶはるこ):弟子志願の少女。

㉙寄雨戀
勝浦:鈍感で変わり者と笑われてしまう。
貫名漾子:勝浦の取引先の社長令嬢。
洸子:姉。
志夏子:母。

㉚寄煙戀
興津
綺羅:興津の妻。
青垣沙羅:妻の妹。
神尾壮途

㉛寄山戀★
女に復讐する二人の男。清原氏(お父さん)がいい人!!
檜垣
諫早
清原敦子

㉜寄海戀
辛崎:獣医
園子:妻
二井:獣医仲間の老人
槇原:島の住人

㉝寄河戀
秋澤創六
佳音子:姉
楢木杉右(すぎすけ):佳音子の夫。
咲代:杉右の妹。

㉞寄關戀
鈴子
初穂:娘

㉟寄橋戀★
古賀:現場監督
首藤:班長
吉備:副班長。優しい。

㊱寄草戀
青柳衣素子(いそこ):女中
大澤銀造:主人
徳代:夫人
八珠子(やすこ):娘
亥助:息子
韮山:俄か顧問弁護士
篠原:八珠子と婚約中の御曹司。

㊲寄木戀★
菅沼克典:父と妾の子。
速人:克典の従兄。
輝一:克典の伯父。(父の兄)
布恵:速人の母。
相馬梢:克典が惚れた歯医者の娘。

㊳寄鳥戀★
三羽ガラス。仲良すぎて彼女ができない。
高尾:銘茶卸問屋
不破:新聞社
三好:スーパーマーケットの事業部
住吉:漆器商の娘
味原:陶磁器店の女秘書

㊴寄獣戀
春菜(はるな)
惠示:春菜の夫。
颯也:息子
凱歌:義弟

㊵寄蟲戀
讃作
葭子(よしこ)
研志(けんし):鳥海家に置き去りにされた養子。
鳥海鮎子:隣人。
清朗:主人。

㊶寄笛戀
牧岡高也:音楽家を夢見ていた
彌矢:高也の妻
鶴代:縞太郎の嫁
鎬太郎:高也の息子
幹一:縞太郎の息子
鋭二:縞太郎の息子
三品:幹一の学校の音楽の先生

㊷寄琴戀
諏訪
牧子;妻
濱名美堊子:牧子の教え子。

㊸寄繪戀
那須諏訪?:画家
眞砂:眼を患っている
浦子:眞砂の妹

㊹寄衣戀
棟上
森子:娘
水上:森子の恋人

㊺寄席戀
星野
瀧上:紙漉き職人
奈緒子:娘
梢一:兄

㊻寄遊女戀
菖子(しょうこ):
六郷:一か月前に出張に来た会社員
根津:居酒屋の主人。

㊼寄傀儡戀
腹話術師の二人。
理沙
加賀
松坂:裏方

㊽寄海人戀
初實(はつみ)
水戸虎生(とらお)
阿彌子:虎生の姉
笹川

㊾寄樵夫戀
葉矢子
室積飛郎
淵上:室積の友人。
綠:高校時代から名うての発展家

㊿寄商人戀
影子(えいこ):歯科医。
河越:影子に劫一を紹介した。
杉坂劫一:話すことが出来ない若者
三杉:影子の相方歯科医

黄昏に獻ず

男色表現あり→檻、陽轉、黄昏に獻ず、赤き雪の主題、鳰、(雄蘂變)、味蕾

黄昏に獻ず、赤き雪の主題、鳰、味蕾が特に好きです!

カニバリズム、主従要素あり。めちゃ怖い。

嵯峨子(さがこ):華晶の娘。
華晶(けしょう):海外旅行から帰ると人が変わってしまい、人の脳みそを食べる絵などを描くようになる。
壬生子(みぶこ):華晶の妻。
刀根(とね):従者。武骨な大男。

陽轉

ワーグナーの衆道の話をする。
ワーグナー詳しくないので出直したいのですが、なぞらえて七座に洗脳される空閑の関係性がお耽美です。

空閑(くが)
七座(ななくら):画廊の支配人。
紫磨子(しまこ):空閑の妻。

木賊刈

タイトル「とくさがり」
死に別れた妻の友人がやってきて、妻の秘密を暴露する。

檣作(しょうさく?):妻と死に別れ、独り暮らしの男。
品野朔子:檣作の家の前の持ち主。
速水文月(はやみふづき):檣作の元妻。亡くなっている。
更級侠右(さらしなきょうすけ):憧れの的。
公文遊岐子(くもんゆきこ):侠右の妻。
松生(まつお):侠右の息子。

昔に霞む

舅×妻ものです。雨の四君子にもあったような。
塚本さんお好きなんですかね、歳の差…

風間高氣:服飾研究家。妻と娘に厳しい。
風間英氣:高氣の父。60歳近いが若々しく、女受けが良い。
伊保子:高氣の妻。舅の英氣に惚れている。
羚子(れいこ):高氣の娘。
檜垣華江:高氣の元を訪れるデザイナーの卵。
夏川環:高氣の秘書的な存在の女性。

黄昏に獻ず

あかね(美女)→馬庭(イケメン)→青磁(美青年)
っていう最高の三角関係…
最後どこがくっつくかはお楽しみ…

雪室あかね(ゆきむろ):姉。スコーピオン。
青磁(せいじ):あかねの弟。タウルス。
葵予子(きよこ):姉弟の母。肺炎で亡くなっている。
馬庭三千輔(まにわみちすけ):姉弟とともに旅をする。父と呼んでいるが、実父かは不明。占い師。サジタリウス。

赤き雪の主題

手紙の形式で、ミステリー調です。
愛憎渦巻いています…男同士あり。

↓愛憎模様がネタバレOKな方は反転してください

鐵之介→さゐ子→沖星→映作←夏那子

*登場人物*
若宮さゐ子
映作:さゐ子の弟。燒津画塾に通っていた。目を患っている。
水島炯太郎:燒津の友人。
燒津沖星:画家で、すでに亡くなっている。
夏那子:燒津の妹。
瓜生鐵之介:さゐ子の恋人?
栗栖曜吉:燒津画塾の塾生。

まゆこもり

又従妹の家で見るお耽美な夢。
スッキリする終わり方。

馨子:「私」の又従妹

果物急ぎ

食べ物についてのお話?と思ったら、最後にどんでん返しが…
カレーのレシピがめちゃくちゃ美味しそう。

醍醐:秋象の同僚。
上牧秋象
千香子:秋象の妻。

有憂宮

女にヒモに仕立てあげられる男の話。
男が頑張って職に就こうとしても、女が裏で手を回している…

蕗澤:転職をしても上手くいかず、自分はダメだと思っている。
錫子(すずこ):ダメな蕗澤に追い打ちをかける。

反唇

妻が同窓会に行っている間、家にキリスト教を布教する女がやってくる。
夫が言い負かしてしまう、スカッとするお話。

明文:夫
敍子(のぶこ):妻
好文:息子。幼くして亡くなってしまった。

藍住が実は夏瀨が好きで、娘の朝江の顔に面影を見てしまい、この親子とは一緒に暮らせない…と思っているところが辛くて好きです。

藍住:布惠子と結婚を一瞬考えたが、思い留まっている。
布惠子:夏瀨に置いて行かれ、藍住と付き合うようになる。
朝江:布惠子と夏瀨の娘。
夏瀨:布惠子とは結婚せず、布惠子と朝江を置いて海外へ行ってしまった。

白馬

四人の兄(春生、夏生、秋生、冬生)に溺愛される、美人な妹(養女)のお話。
養女とはいえ妹にガチ恋するお兄ちゃん、切ないような何というか…
少女マンガみたいな設定で良いですね。

花穂:四人の兄に溺愛されているが、実の兄ではなく父親の友人の娘。
春生、夏生、秋生、冬生:花穂の兄。順番に一歳ずつ違う。
園枝:家政婦

桃夭樂

杏仁(種の中身)ばかり食う、偏食の男の話。

良夜(りょうや):偏食家
華實(かじつ):父
春鳥羽菊繪:良夜の妻。

空中伽藍

祖父と孫だけになった家系のお話。
漢文がたくさん出てきて難しいです…

篠宮龍陽(たつひ)
木兄(きのえ):龍陽の祖父。漢文学の第一人者と言われていた。
萱野(かやの):家事を仕切る嫗

水中斜塔圖

幹生と婚約した比差子、本当は亡くなった幹生の兄・海潮(うしお)が好きだった…
悲しくて怖い。

幹生:実家が牧場の次男。
海潮(うしお):幹生の兄。
比差子:織物で有名。海潮の恋人だったが、海潮が亡くなった後、求婚され幹生と婚約。

靑き菊の主題

初読「長野まゆみの偏愛耽美作品集

火宅搖籃歌

母親に復讐する男の話。

新枝錫也(にいえすずや)
磨璃:錫也の母。
鶴也:錫也の父。

網膜遊行

降旗は他の人には見えてないものが見える。
玉蟲は結婚する前に、愛人を必ず降旗に見せる。
最終的に玉蟲はどんな人を選ぶのか…

降旗喨嚠:眼に病気があり、光がちらつく。
玉蟲二黑:喨嚠の友人で眼科医。

雄蘂變

カッコイイ男の人がたくさん出てくる…!

柿沼
雲井八尋:転職を繰り返し、今度開く茶房について柿沼に相談する。人を懐柔する性格と美貌で、パトロン・パトロネスから資金をもらっている。

味蕾

仲良しな男二人がイチャイチャしている(?)話。
話が合い楽しそうなのですが、コーヒーで舌をやけどした時のシーンが良くてですね…にこ…

會津:保健所の医師。
杉谷:建設事務所の設計士。
どちらも35歳、二人の子がいる。

劇で狼を演じていた美少年に一目ぼれしてしまい、嘘をついても近付こうとする話。

左貴子
冬實:左貴子の友人。
右維子:左貴子の姉。
白根喬太:左貴子が一目ぼれした美少年。

夏至遺文

男色表現あり→受難、蠍の巣、異牀同夢、葡萄鎭魂歌、夏至遺文、霞の館、繪空、放生、二の舞、如月の鞭、鷹の羽違ひ、僧帽筋

特に好きなのは「異牀同夢」「二の舞」「僧帽筋」。「如月の鞭」もいいなぁ。全部いいです。
この収録作品は、後味悪めが多いです。

2023年6月に、河出さんから文庫が復刊となりました。
その際のプレゼンも合わせてどうぞ…!

ミステリー、ホラー寄り。ゾッとします。

受難

江戸時代?長屋者です。
タイトルから分かる通り、キリスト教要素も。
夢か現実かあいまいな幻想的な要素もあり、衆道要素もあり…

蠍の巣

ハムレットをもとにしたお話。
私は不勉強のためハムレットが分からず…勉強して出直します。

異牀同夢

めちゃくちゃ好きです…心中ものでもあると思いますが…

岸南とその後輩・國見は、岸南妻子に内緒で好き合っている。
お正月から似たような夢を見るようになり、やがて内容も全く同じ夢になっていく…

國見くんが岸南さんちに遊びに来た時に、先輩を起こして着替えを眺めていると、真っ赤になって目をそらすシーンが好きすぎてです。その時の岸南さんの男ぶり描写は、塚本さんらしい色気たっぷりのもので最高です!
また、夢が同じになりすぎて、もはや話すのもはばかられ、二人で煙草を吸って見つめ合うだけで通じ合っちゃう描写もまたお耽美で…素晴らしいです。

*登場人物*
岸南(きしなみ):休みはなかなか起きない、だらけた主人。36歳。
眞幸(まさき):岸南の息子。
苳子(ふきこ):岸南の妻。
國見(くにみ):岸南の後輩。28歳。

葡萄鎭魂歌

徹底した女嫌い力雄と、その親友・夏原の話。
力雄の女性嫌いは、母ではなく父と兄が作った弁当しか食べないということから始まり、動物もメスは嫌い、外国語も女性名詞を嫌うなどの徹底ぶり。そんな力雄に情が湧き、友人の夏原はそばを離れなくなる。
ラストシーンは切なく泣けます…

*登場人物*
紺田力雄:徹底した女嫌い。
夏原壮介:付き人のような親友。

夏至遺文

タイトルでお察しですが、ある男が「君」に宛てた遺言状のような形式。
「君」が妹にかけるべき愛の言葉を、「君」は「私」にかけてきた、という一文から方向性が変わります…

霞の館

亡くなった男の視点で書かれる、少しファンタジー要素があるお話。
男は惚れた男のために命を落とすのですが、その惚れていた男も、別の男に縛られ吸い取られ…

繪空

レオナルドダヴィンチのお話。
ダヴィンチのお話なので、必然的に男子の名前がたくさん出るのですが…
お耽美系のお話ではないです。

姉が遊びに出かける際、姉夫婦の家の留守番をする妹視点。
息子が物分かりがいというより、もはや悟りともいえる冷静な子。
その息子には、いろいろ真実がバレていて…

放生

主人と3人の美しい従者の話。
大心中です…

*登場人物*
犀太(さいた):23歳。沐浴や散歩の伴侶。
菜生(さいせい):料理担当、首の太い好漢。
彩介(さいすけ):チェンバロの名手。巨人。27歳。
霞門:主人。29歳。

二の舞

えっち…めちゃくちゃ、えっち…
お医者さん×患者ですって。もうすごい。
言葉遊びでえっちな感じが最高。

如月の鞭

家に突然やってきた鳥猟師と恋に落ちた男の話。
切ないです…
クリスマスイブに男の好きな料理をたくさん買って帰りを待つ主人公、健気すぎて泣ける。

鷹の羽違ひ

姉視点で進む、弟の結婚式前夜のお話。
親の勧めで見合い・婚約したものの、やはり弟は結婚したくないのか帰って来ない。
どうやら好きな男がいるらしい…

弟くんの相手って、教授?ですか…?誰か教えてください…

月落ちて

主人公の男が友人宅を訪ねると、共通の友人だった御影が残した絵暦を見せられる。
実は御影の妻と主人公は、不倫関係にあり…

最後のどんでん返しが衝撃的…

僧帽筋

初読「リテラリーゴシック・イン・ジャパン」。

賓客

母を亡くした娘の話。
可哀想すぎる。

大学に通う主人公と、祖母のお話。
言語学の学会に参加するのに絡めて、名の由来の話をする。

塚本邦雄全集〈第6巻〉小説(2)

*読書中*

獅子流離譚―わが心のレオナルド

荊冠傳説―小説イエス・キリスト

トレドの葵

男色みがある→凶器開花「雙榻」・(「蒼溟」)、虹彩和音「濃翠」、石榴、空蝉昇天「朝凪」・「八朔」・「竈馬」・「冬霞」

全編イケおじ、美男子が出てきます。
ほんのり表現が多いですが、「石榴」はホテルに…行っています…

2023年6月に、河出さんから文庫が復刊となりました。
その際のプレゼンも合わせてどうぞ…!

風鳥座

イケおじ・那須さんが怖くて良いです。

香崎(こうざき):銀行勤めで、学生時代は演劇部。
那須神敬:ヨーロッパ帰り。早穂の養母の義弟。
苗代早穂(さほ):香崎を恋人と思っている。役者の卵。
香奈:早穂の養母。
榊:香奈の妹。那須とヨーロッパに行った際に亡くなる。
黄瀬田六道:香崎とは学生時代からの猿の仲。

聽け、雲雀を

カナヅチの男の話。

鷲崎
眞穂:妻。
渾(こん):息子。

トレドの葵

不倫旅行を回想する。
旗谷くんがいい子。柿崎と燈子さんには幸せになってほしかったな…

レストランの給仕の少年が天使でかわいい。

柿崎遼介
紺野燈子(とうこ):柿崎の不倫相手。
旗谷(はたや):スペイン在住のツアー案内人・画家。
香澄:柿崎の娘。
設楽謠子(したらうたこ):柿崎の妻。
ヘスス:バスの運転手。

鳥兜鎭魂歌

主人公の男が、亡くなった妹が作った刺繍の原作を見にフランスへ行く。
刺繍は妹が想いを寄せていた黑谷へ贈ったもの。

黑谷明示:ガイド、目尻に小さなほくろのある美男。画家。
香元雄大
七重:妹
笹田岸穂
風祭夫人

七星天道蟲

主人公が同じ短編がいくつか集まったもの。
豹象が家族やその周りの人について語る形式。

豹象
玉串玄武:豹象の父。病気で33歳で亡くなる。
柊堂火枝子(しゅうどうひえこ):舞台女優で玄武の妻。夫子を置いてどこかへ行ってしまった。
榊教授:玄武の友人。
星繪:榊教授の養女。
セルピエンテ・花月:火枝子の再婚者。プロレスラー。

無弦琴

舅×妻…だけかと思いきや、夫も妻の母にも気があり、母を娶るか娘を娶るか迷ったという…笑
なので、実父と妻がデキてても黙認。なんてこった。

雄大
望月七重:雄大の妻。
弦六:雄大の父。
蓮繪:七重の母。

凶器開花

短いけど強烈な短編集。それぞれ独立していると思われます。

『雙榻』でいきなり吉原の英雄・助六が恋人だったこともある、で締めくくられて二度見。
『蒼溟』はおじさんが年下の美しい男女に責められる。

虹彩和音

短編集。

個人的に『濃翠』は伯父×甥だと思っています…良き…

石榴

人間関係が入り乱れまくってて最高。
速人×翔の、ホテル事前事後の描写が最高なんです最高。
速人が、妻と翔の仲を知りながら、翔に妻を抱かせて、自分も翔とホテルで会うのすごすぎないですか??設定が天才。

翔(かける):23歳。
霜代:翔の母。息子を大人にしてほしいと、彩にお願いする。
彩:35歳。速人の妻。翔を誘う。
速人(はやと):建設会社の幹部で、家にいることが少ない。実は裏で色んな人とつながっている…
雪穂:霜代の妹。
百合奈:亡くなった霜代の夫の元愛人。
樅谷:画家。霜代が夫が亡くなった後につくった愛人。
鷲井:ガラス工芸家。
若杉:神父。

※以下、ネタバレなので注意してください※

関係性をすべて書き出しているので、読了後ご参照ください…

相関図(画像クリックで、画像が拡大できるようになります)

図に埋め込むことが難しかった補足↓

・翔と速人
翔は、樅谷と霜代が愛人関係にあったことを初期から気付いており、樅谷のパトロンであった速人が霜代から奪い殺害したと考え(ているからかは不明ですが)、速人への復讐の機会を狙っている。

・霜代と百合奈
霜代と百合奈も恋愛関係にあったのではと…
最後の神父の告白中に、霜代は「殺人者とゴモラの恋に恥りつつ」とあり、殺人者=百合奈とすると、二人は関係があったと読めます。詳しくは調べられていませんが、ゴモラは同性愛(主に男色のようですが)の禁忌を指すようです…?
百合奈は霜代と縁を切りたがっていますし、霜代にただ面倒を見てもらっていたようではないような印象です。

空蝉昇天

短編集。
「朝凪」外国人の男との友情、「八朔」ほっそり美男祖父×父(駆け落ち?)、「竈馬」男の描写に湿度がある、「冬霞」牧場の社長である兄が従業員に慕われている→みんなを置いて外国に旅立とうとして揉める

月光變 「魔笛」に寄せて

第三集『黄昏に献ず』の「陽轉」と登場人物が同じ。
七座が読心術を使えるとは。
「魔笛」などのヨーロッパ音楽が分からないので難しいです…

琥珀貴公子

男色→正月、八月

正月 露瞼

父と関係の深かった新牧の家へ招かれた靄子。
そこには怪しげな塔が建っていた。

睦月×新牧…にこ

靄子(あいこ)
新牧:朝木を師と仰いでいた建築学者。
朝木睦月(あさきむつき):靄子の父。建築専門の学者。数年前に亡くなる。
柳見(やなみ):新牧の弟子。童顔の若者。
維子(つなこ):靄子の母。

二月 金翹

剣二を慕って集まった朗読会。
剣二が朗読に興味を持ったのは、女優だった姉の影響だが、その死因は不審で…

春山剣二:化粧品メーカー勤務。
至雅子(しがこ):剣二の姉。女優だったが、亡くなっている。
酒倉颯也:高校教師。
暮田洪志:神学出身の青年。
雲井典雅:服飾デザイン研究所経営。
眞山希美子:高三の美少女。

三月 花城

稜三が伯父から譲り受けた家はいわくつき。
一緒に住んでいた妻は病気で亡くなり、貸した人々も一年足らずで転居。

青根稜三:青根家の三男。
照代:稜三の妻。病気で亡くなっている。
香殿恆久(こうどの):母方の伯父。
風坂奎子(けいこ):恆久の家に住み込んでいる使用人。ほぼ後妻扱い。
圭一、角二:稜三の兄。どちらも亡くなっている。
萬象:稜三の父。
類子:稜三の母。
錦織:稜三の友人。

四月 墮紅

東瀨家には立派な庭があり、北半分は観光地として開放している。
ある日、池に隠し子の節也がいるのを禮四は見てしまい…

東瀨禮四(ひがせ):当主。養父母の勧めで結婚したため、妻を良く思っていない。
旗子:禮四の妻。敵を作りやすい性格。
元策:禮四の養父。
節也:禮四の隠し子。
結島早茅子(ゆうしまさちこ):禮四の取引先の未亡人で、節也の母。
青崎:農学部の学生。東瀨の家の池や植物の管理をしている。

五月 香汗

夏井はファンの翔子から度々送られてくる手紙に困っていた。

夏井倫五:講演会などを行っている、公衆衛生専門の医者。
谷汲翔子(たにぐみしょうこ):夏井のファン。
輕野:獣医。夏井の友人。
涼繪(すずえ):夏井の婚約者。

六月 赤帝

南野紀六:洋装店。
繪満(えま):養育院・路得館の夫人。
龍野環(たつのたまき):行方不明の孫を探している老女。
炎(ほのお):環の孫。
巽瑞穂(たつみみずほ):両親と死に別れ、路得館で暮らしていた少女。環に引き取られた。
ヤン・フューネン:帰化牧師。

七月 雲渚

飛行機が大好きな少年・七雄。将来パイロットになるんだと後押しする伯父。
母親はそれが気に入らない様子で…

七雄(ななお):幼くして父を亡くした少年。母より伯父が好き。
潮信(しおのぶ):七雄の伯父。將七の弟。兄の忘れ形見である七雄を可愛がっている。
將七:七雄の父。「星空航空」のパイロットだった。
梢子(しょうこ):七雄の母。

八月 飛露

夫は自分よりも愛人を愛している。生活に嫌気がさした紬は、汽車で遠くへ逃げる。
そこで出会った男・月原の家へ滞在することに。
良くしてくれる月原に、紬は離婚してここで暮らすことも考えていたが…

好きになりかけた男に夫を盗られるトンデモ展開…


紘八:紬の夫。
月原悠司:空手の先生。
影山十樹子(かげやまときこ):紘八の愛人。
外山:月原の一番弟子。

九月 散螢

男女の三角関係の話かと思ったら、強めのマザーコンプレックスのお話です。

苑宮美草(みくさ)
西園陽九:大学受験に失敗し、精神衰弱気味。
金井:美草と西園の高校時代の友人。

十月 碎霜

夢か現実かあいまいなお話。美少女を愛でるお耽美系。

白峰:息子夫婦に煙たがられている老人。

十一月 凝寒

妻と老女中の口喧嘩が強い。笑
かと思うと息子くんも強い。

千夜(ちよ):充溢の老母。
充溢(じゅういつ):母と嫁に板挟み。休みの日は朝から飲んでいる。
眞壽子(ますこ):充溢の妻。
芳野:老女中。
眞幸(まさき):充溢の息子。来年就職。

十二月 淡光

変わり者の妹と妻に板挟み。
妹を嫁にやって厄介払いできたと思いきや…

重爾
霜代:重爾の妹。
布輝子(ふきこ):重爾の妻。
薄田:建築家。霜代に求婚中。
燦爾:重爾の息子。

閏月 移桃

夭折した兄をめぐる家族のお話。
兄弟モノだと思います…!

餘部龍飛(あまるべりゅうひ):天才と言われていたが、夭折。
獻也(けんや):弟。
光和:父
環:母

塚本邦雄全集〈第5巻〉小説(1)

※読書中※

河出文庫で復刊になったものも多いです。
文庫に比べると、漢字は旧漢字・ふりがな少なめなので、文庫の方が読みやすいです。
例:文庫「挿しつぱなし」→全集「插しつぱなし」、文庫「腋芽」にふりがな(わきめ)が付いている→全集ふりがな無し

藤原定家 ― 火宅玲瓏

第一章 夭桃-一二〇六年彌生

第二章 空橘-一二〇九年水無月

第三章 散萩-一二一三年臘月

第四章 暗梅-一二二〇年如月

第五章 乱菊-一二三三年文月

第六章 敗荷-一二三九年卯月

菊帝悲歌 ― 後鳥羽院

紺青のわかれ

読書録「紺青のわかれ」参照

雨の四君子

男同士表現あり→(カラカラ)、反葬、靑龍、ななつさがり
個人的に好きなのは、「カラカラ」「靑龍」「ななつさがり」でしょうか…

【こんな方にオススメ】
※あくまで個人的な見どころ
・お耽美、拷問、失禁までも大丈夫な方 →カラカラ
・何よりも強い男同士の絆が見たい →反葬
・女好きと見せかけて、本命美青年なヤバイ男が見たい →靑龍
・強引に押し倒してくる男、好きだぜ →ななつさがり

ぶたぶたこぶた

賭けをする男女の話。女性が怖く見えますが、個人的にはいい話だと思います。

*登場人物*
眞鶴(まなづる):陶磁器の卸をしている男。妻を亡くし、現在は独り身。
柚木(ゆのき):音楽評論家
千曲菱代:女将。亡くなった主人の弟に生き写しだという眞鶴を気に入り、賭けをしようと言ってくる。
壮志(そうし):眞鶴の息子。

泊夫藍もどき

読み方:さふらんもどき

代々双子が生まれる家系の話。切ないお話。

*登場人物*

雨の四君子

女性日本画家・眞夏の、未だ見ぬ恋。切ないお話。

*登場人物*
白杉(しらすぎ)眞夏:実家は書画材料店・白杉虹彩堂。日本画家。
榛名朝生(はるなあさお):探検家。
しをり:朝生の姉。七宝焼き作家。
齋(いつき):眞夏の父。白杉虹彩堂主人。
木曾:白杉虹彩堂の店員。
桂田:白杉家の番頭。
伊都:桂田の義妹。白杉家の家事をする。
二宮紫磨子:旅館を営む、眞夏の旧友。
高月:紫磨子の営むホテルのマネージャー。
棚井涼月:眞夏の日本画の先生。
東志子(としこ):眞夏の母の妹。

カラカラ

突然の電話で出題されたクイズに正解し、割引で新しい湯屋を訪れる主人公。
訪れると、拷問の話を突然始める主人と、青年が彼を迎え…

突然の緊縛・擽り拷問・失禁で、大混乱しました…

相府蓮

美少女に育ったハーフの娘と、若々しい再婚者の関係性を疑う、女性視点のお話です。
お得意の後味悪すぎ急展開です…

*登場人物*
麻季(まき)36歳:再婚した夫と娘の関係を怪しんでいる。家に籠り切り。
高月騎策(きさく)34歳:麻季の再婚者。
梨里(りり)18歳:麻季の前の夫との間に生まれた娘。ハーフで、美少女。
クロード:麻季の前の夫。カナダ人。ガンで亡くなる。

反葬

父の又従弟の法事に出席することになった射八(いはち)。
現当主である徹也から、徹也の父の形見であるという辰砂を譲り受ける。
それは射八も見たことのあるもので…

*登場人物*
射八(いはち)
志水鎬介(こうすけ):射八の父。すでに亡くなっている。
槻子(つきこ):射八の女房。
遠山郁也:鎬介の又従弟、遠山家の先代。すでに亡くなっている。
五重(いつえ):射八の姉娘。
六根子(むねこ):射八の妹娘。
徹也:遠山家の現当主。射八を招く。

ほっこりするお話です。

*登場人物*
笹島:製薬会社勤務。
室戸:笹島の友人。
ロドリゲス:メキシコの製薬会社の重役。
シルヴィア:ロドリゲスの娘。笹島の妻となる。
摩天生(まてお):9歳。笹島の息子。頭が良く、萌の家庭教師をする。
萌(きざし):7歳。室戸の娘。
蘇天子(そでこ):室戸の妻。

靑龍

会員制の高級クラブ「四季」をめぐるお話。回想形式。
クラブの客・讃岐の発案で、定期的に催しが行われる。
ホスト・ホステスと客を、ランダムにくじ引きのようなもので一対一で組み合わせ、その日の十二時まで過ごすというもの。異性同士・同性同士は問わない。

…最後のどんでん返しに頭を抱えます。というか、設定がすごすぎる。天才か?

*登場人物*
黒宮左近(くろみやさこん):当時41歳。「玄武」。「四季」で一番人気の美青年だったが、現在は陶磁器卸商。黄瀬と大学の同窓。
楠上(くすがみ):「四季」の客。篠井がお気に入り?
粟根:黒宮のお店で働く、アルバイトの学生。
篠井眞人(しのいまひと):当時27歳。「青龍」。俳優の卵で、「四季」では黒宮の次に人気の好青年。
黄瀬:「四季」マスター。
霜倉菱子(しもくらりょうこ):当時29歳。「白虎」。ホステス。愛人と死に別れ自活中の、クールな美人。
丹原百合(たんばらゆり):当時23歳。「朱雀」。俳優の卵。大声で笑う陽気な娘。
蒔田:化粧品会社のデザイン担当。
檜:劇団の大道具担当。
讃岐:経済誌編集部長。会の発案者。

高野切

この一冊では異色の時代物で、紀貫之のお話。
貫之が子供の頃に母親と暮らした時のことを思い起こす。
これも切ないお話。

蠟梅天使

個人的に一番後味が悪い…笑
最後に一気に雲行きが怪しくなって、本当につらかった。

*登場人物*
苗代寥吉(りょうきち):老人。
初穂(はつほ):寥吉の妻。
納家香久子(なやかくこ):隣に越してきた未亡人。琴の先生。
絃子(いとこ):香久子の娘。美少女。
東朔:寥吉の養子。寥吉の友人の忘れ形見。
菅一郎:寥吉の孫=東朔の息子。
微紀(みき):東朔の嫁。

眛爽柑橘園

これもクスッとできる、ほっこり枠かな?と思います。
季秋くんの妄想が楽しい。

*登場人物*
星田季秋(すえあき):実家が果実店を営んでいるが、父のやり方が気に食わない。
紀彌(きみ):季秋の母親。
結城家:星田果実店を訪れた、母と美しい娘。

ななつさがり

喬介が橋守を言い負かしていくのがスカッとします。
ですが、最後の数行でそれどころではなくなります(お察し)

*登場人物*
茅原喬介:橋守に傾倒する姉をよく思っておらず、一泡吹かせようとしている。
茅原七實(ちはらななみ):喬介の姉。橋守を尊敬し、重役となっている。
橋守靉山:歌人、「七竈」主宰。
夏川龍象:父親からの縁で、橋守の片腕的存在。

服喪二十四分間

男女のすれ違いの話。切ない…

*登場人物*
十黄子(ときこ)
花垣

給仕の室-日本近代プレBL短篇選

Twitterで見てずっと読みたいなと狙っていた本です。
本当に全作品よくって、読むのに体力が要りました(1つ読むごとにクソデカため息&床突っ伏しを余儀なくされるため)
個人的に特に好きなものを…

Ⅰ部は「若衆歌舞伎」からの「執念」が好きです。
「執念」は「若衆歌舞伎」の作者(原稿を偽装して実刑判決受けてるとのこと)をモデルにしていて、順番に読むと2作品の繋がりが分かります。
「執念」の主人公は、「若衆歌舞伎」の作者が危ない人だと分かってるのに、離れられない美少年という設定で、なんて切ない話なんでしょう…好きすぎる。
終わり方も切ないのですが、最後の一文で完全に落とされてのたうち回りました。

Ⅱ部は「過去世」ですかね…
母親不在の特殊な家族(父・兄・弟)で、衝撃のラストです。弟が女嫌いのお耽美美少年で、父や兄とのやり取りが妖艶に描かれています。
たぶん、長野さん作品の初期お耽美兄弟(夜啼く~、夏至南風、魚たちの離宮とか)が好きな人は絶対好きなんじゃないかな…と勝手に思います(私が好きなため)
女性作者というのも影響しているかもしれません。

また、「泥棒と若殿」は読みながら泣いてしまいました。身分差と人情とで胸がいっぱいになり…最後にふさわしい作品でした。

【個人的印象メモ】
Ⅰ部:衆道、小姓・稚児、男色、少年愛など
秋田雨雀「同性の恋」:病死した美しい友人との思い出を追想する。友人が主人公を傍に置くのは理由があって…
日下シン「給仕の室」:美男子純太への、主人公の止められない愛情と劣情
倉田啓明「若衆歌舞伎」:美少年2人が美を探求
山崎俊夫「執念」:上記「若衆歌舞伎」作者モデル。暴力と嘘から逃れられない主人公。
木下杢太郎「船室の夜」:田舎から上京した主人公の、美少年への恋と身の破滅(不良と仲良くなってしまう)
室生犀星「お小姓児太郎」+「美小童」:お小姓児太郎と、それに仕える髪結少年+美しい童が忘れられない主人公
綿貫六輔「小松林」:お爺さんを愛する軍人、お爺さんの愛人との関係でも悩む
Ⅱ部:友愛
国木田独歩「画の悲しみ」:自分より絵が上手い美少年への嫉妬と友情
田中貢太郎「野薔薇」:敵国同士のおじいさんと青年の友情
小川未明「ある神主の話」:漁師の男と、突然現れた小柄な男との友情。実は小柄な男は人外で…
岡本かの子「過去世」:女性の作者が友人から過去の話を聞くという語り口。昔、母親のいない家に預けられていた時の話。父:癇癪持ちで女嫌い、弟を可愛がりずっと傍に置いている・兄:父と弟から使用人に近い扱いを受けている・弟:美男子だが女嫌い
豊島与志雄「死ね!」:貧乏なため働き詰めの主人公と、働かずに借金をしている友人の話。
太宰治「駈け込み訴え」:イエスへの嫉妬心から裏切るユダの独白
山本周五郎「泥棒と若殿」:お家騒動で幽閉された若殿と、そこへやってきた泥棒の友情

編集の方のツイートで「少年愛文学選」(平凡社)を意識されていたというのを見て、なるほどなと思いました。
「少年愛文学選」から漏れてしまったような、どうしようもない加虐性・被虐性を中心にまとめられていると…
なのでハードめな作品が多いのですが、それもまた切ないというかやるせない気持ちを誘って、読むのに体力が要ったのだろうと感じます。

(「執念」は権利がどこにあるか分からなかったっぽくて、裁判所で確認までしていただいて…文庫で気軽に読めるようにしていただいて有難さしかないです…)