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左近の桜シリーズ

魂魄系の和風ファンタジー。四作目は『銀河電燈譜』『水迷宮』のような因果系の雰囲気もあります。
結局、全容を把握するにはどう読んでも頭数が足りないようです…

三作目まではさほど難しくないように思いますが、四作目が長野さんのなかでも難解度が高いです。文藝のインタビューで「新世界を読み返したら簡単すぎた」とおっしゃっていたので、そこから難易度が上がっている気が私はしています。

シリーズの順番

①左近の桜
 桜蔵16歳・高校二年。

②咲くや、この花

③さくら、うるわし

④その花の名を知らず
 桜蔵15歳・中学三年(祖父の三回忌)の回想。

登場人物

左近家

左近桜蔵(さこんさくら)︎︎ ♀:16歳/高二(一作目)。文系。死人と交わることができる。3月生まれ。
千菊(ちあき)♂:弟。中一(一作目)。
葉子(はこ):母。女将。
日子(ひなこ):母方の祖母。
辰彦(たつひこ):母方の祖父。ケモノに詳しい。柾の師匠。左近へ婿養子。桜蔵と千菊が通う高校の理科教師で、柾も卒業生。理科部。
桜生(さくらお):葉子の兄。拾い子。望月の養子になって家を出た。→望月(もちづき):質屋・八疋(はちひき)、二十代の若い男。柾の研修医時代の恋人で、今も引きずっている。
川路(かわじ):大叔父。祖母の弟。二十歳くらいに病没。
左近伊吹(いつき):日子の大伯父。黒髪峠で行方不明。=神岡茂:登山中に記憶を無くした。白鳥家の番頭となる。
芳子(かほるこ):伊吹の妹。
英尾(ふさを):芳子の娘。日子の母。
左近永門(ひさと):幸の夫。戦地へ行ったが帰還。

井川清志(いがわきよし):番頭。
茨(うばら):井川の母。産婆。
佐久間功(さくまこう):板前。四十代。十五歳のときに、番頭の母親が遠縁といって郷里から連れてきた。今も番頭の家で暮らす。
菊政(きくまさ):包丁研ぎ師。
シノブ:菊政の孫。→雨彦が宿った。佐久間を誘う。

白鳥家

柾(まさき)♂:母の夫。本妻とは子供を持たない約束。医者。旧姓白鳥。(女)を育てるのが上手い。四十歳すぎ。
遠子(とおこ):柾の正妻。母は産科の医師。
一師(かずし):父方の祖父。白鳥という姓をきらって、何人目かの妻の旧姓を名乗った。
師(つかさ):曽祖父。三度結婚、一男三女。姉妹の母は一緒だが、父は違う。辰彦の恩師。
幸(ゆき):江子と取り違えられた白鳥家の長女。
白鳥二紗(ふさ):大叔母。祖父の異母妹。
沖子(なかこ):二紗の母。旧姓白。父親の旧姓は樋口。
早久也:柾の従弟。一師の妹の息子。

白家

白清子(つくもさやこ):父方の祖父の縁者。祖父の妹。大叔母を名乗る。
白伸(つくものぼる):旅館三つ葉の息子?白鳥家の令嬢と婚約。
淳一(じゅんいち):女将の父親。
高見江子(たかみのぶこ):伸の伯母。
真央(まなか):江子の息子。
淳也(じゅんや):三つ葉の息子。

井茂治之(いしげはるゆき):白毛。茶人。永門と詰襟を連れていく。井茂は養家、父親は神岡。
早門(はやと):ハルエの元夫。遠子の同級生。白毛。

沖家

沖(おき):高校OB会の理事。自動車修理工場。
万智(まち):谷村の叔母。
千弥(ゆきや):万智の下の兄。茶碗ざくろを取り出そうそして、不発弾に逢う。
一都(かずと):万智の上の兄。千都子の父。永門の同級生。療養所にいた。
谷村千津子(ちづこ):沖の姉。沖モータースの事務員。

乾申彦(いぬいのぶひこ):一師の先輩。沖の従弟?桜蔵の大伯父。母方の祖父の兄。左近家の井戸の番人。→日子と縁談があったが、すでに白家の娘と子があった。清子?

樋口温門(はると):巨石があった商屋の姓。沖子の父親。
水門(みなと):温門の弟。永門の父親。

西方日帆(にしかたかほ):不動産屋。遠子に似ている。
一序(かずのぶ):日帆の父。
紅江(あきこ):日帆の従姉。

ハルエ:遠子の同級生。多仲亭の娘。早久也と再婚。
白鳥ヨハン:ハルエの息子。=シラカワヨフネ:学生。

桜蔵の関係者

真也(まや):桜蔵の一級上の女ともだち。予備校に通っている。医学部志望。両親は遠子と古い付き合い。
久生(ひさお):大柄な桜蔵の級友。理系。
隼人(はやと):久生の犬。
森本里(さと):久生が連れている小柄な女子。

柾の関係者

浜尾一史(はまおかずふみ)♂?:宿の常連客。社会心理学者。37~8歳。妻子持ち。柾は学生時代から知っている。
浜尾芳(かおる)︎︎ ♀:浜尾の従弟。十七歳で亡くなっている。浜尾の最初の女で、柾も知り合い。
清千舟(すがちふね)♂:三十代半ば。教授。桜蔵の担任、書字学研究室。柾の知り合い。妹と弟がいる。
日文(ひふみ):清の異母妹。
チャロ:柾が桜蔵に贈った犬のぬいぐるみ。Cのタグがある→千早の飼い犬。
船田千早(ふなだちはや)♀:医院の息子。柾の昔の女で、チャロと呼んでいた。
石堂加奈子(いしどうかなこ)
マナ:加奈子の娘。
チャイ:加奈子の飼い犬。

上原家

上原司(つかさ):婿入りした男。
弥子(ひろこ):司の娘。
弥(はるや):高三の司の義弟。どちらもいける。工学部志望。→蜃が乗り移る
門倉(かどくら):医師。

緑の月関連

関谷孝三郎(せきやこうざぶろう):三男。
洋二郎(ようじろう):孝三郎の次兄。頬に傷がある。
慶子(けいこ):孝三郎の姉。
佳央(よしお):慶子の息子。
日野千可琉(ひのちかる):詩集の作者。二十歳にならず戦死。姉の婚約者を奪ったことを告げ口される。
千波琉(ちはる):千可琉の姉。→真也の母方の曾祖母。
市川(いちかわ):関谷の運転手。
シュガー:関谷の猫。

その他

羽ノ浦昆(はのうらこん):千菊の担任。理科教師。養父が亡くなった?分厚い眼鏡をかけている。酒を飲むと人格が変わる。浜尾の知り合いが養子で亡くなった男と瓜二つ。
六月一日晴(クサカキヨシ):蝶捕り師。
萬来(うるき):学校の隣のうるさい小金持ち。
梶岡(かじおか):千菊の同じ組の祖母。
横笛:遠子が呼んだ茶人。

ざくろ・しろうづ・あけび

五十年前に亡くなった森:桜蔵は一師と行った

黒髪峠:白鳥家が所有する山の中。
巌のひび割れのなかに蛇黒(ざくろ)と白貴(しろうず)が棲み、魄を食べて百年生きる。

〈三つ葉〉みつは
もとは蔵元だったが、今は宿になっている。
蛇黒というお酒を造っていた。
幸と思われる女の祖父の家は醸造家

イモンジの家の焼け跡:アケビ、頭の無い白骨
→前の日に〈蛇黒〉を買い求める

蛇黒(ざくろ)
・黒い石榴
・お酒
 イモンジが買い求めた
・茶碗
 幸が持ち出したまま行方不明
 沖家の庭
 清子を名乗る女が探していた
 空の函が白鳥家にあった

白貴(しろうず)
・白い石榴
・お酒
 湧き水を髑髏で濾す
・茶碗
 桜蔵が電車に乗った際に拾う
 白鳥家の婚約祝いに登場
 江子の息子の真央が持ち出して行方不明になる

黒白の石榴は実をつけない→男の化身

朱薇(あけび)
・茶碗
 紅麴。
 乾の家にある
・三百年の樹
 イモンジの家
 中華料理屋
 ミナトビル
・左近家メス、柾の家オスで、現在は千菊が受粉
 →女系の左近家と白鳥家のつながり?

巨石
・師が三陸の峠から持ってきた→白鳥家の墓となる
 黒い石榴が植えられている
・多仲亭の紅吹
・沖家の庭
・乾家の石神

キーワード

女性は現実的なので魂をつかめない
魂は天へ、魄は地へ

現実の人と交わることで浄化される

風はや(ちはや):京都の紙卸売問屋。
枇杷:天神さま
黒い蝶:転写する→魄へ転写された
玉の緒:タマシイを繋ぐ紅い糸。
白雪コウを初雪に埋めると、タマシイが凍って結晶になる
ハマグリ:蜃。虹を吹く。
黒面(クロツラ):屍を喰う冥府の犬。
雨彦(あまびこ):ヤスデ。
タマシイを喰う鳥
蛟(みずち)
ギョク:未練があると重くなる
浄玻璃:罪を映す
カワホリ:ヌケガラの仕分けをする
石榴は魄で育つ
鵺(ぬえ):祖母の葬式に現れる。呪いを解くために黒い髪が必要。曾祖母の夫?が心を奪われたため封印された。
祖母が鏡を埋めた→水琴窟
ジャコウアゲハ
クチナシ:『箪笥のなか』と同じ説明

祖母の兄(大伯父):桜の季節に養子にきた
サネカズラ:あの世で逢う

辰⇔戌
☆左近解説境界があいまい

蛇の女

・左近家は女系(伊吹が行方不明になり、芳子が婿をもらう)
・女は女役のことではないらしい
・蛇の女は人間のからだを借りないと生まれない

『あめふらし』のさゆりも、女の躰で陸にあがって出産する蛇という話がありましたが、
蛇は女の躰でないと子を産めず、それを重宝がっている蛇性の家系?
桜蔵は女の蛇で、清子もうろこのようなものが見えていた。

蛇黒(ざくろ)と白貴(しろうず)
黒い石榴と白い石榴の異名でもあり、実をつけないことから男同士が絡み合っていることをほのめかしている?
→オスの蛇ならば、女のからだがないと子がつくれない

作中で柾のように男の恋人がいると思われるのは
・白家の伸、高見の真央(心中)
・井茂治之、左近永門、学生服の青年?
・桜生

概算年表

四作目の概算です。おおよそ目星をつけるためのもので、正確ではないです…

1881年:伊吹生まれる
1898年:伊吹が消息不明
1914~1915年:英尾11歳、母が伊吹を街で見る
1923年:江子と幸が取り違えられる
1934年:一師が生まれる
1942年:十六夜の茶会(幸、治之、永門、青年、老人)
1947~1948年:清子生まれる?江子が東京で伊吹を見かける。
1947年:半夏夜の茶会(申彦、千弥、淳一/永門)
1964年頃:柾生まれる
1977年:夜船で伸と真央が心中
2007年:江子が亡くなる?清子は58~9歳のはず。

家系図

手書きですみません…

※桜蔵の生い立ちのヒントのようなもの※
柾の祖母の着物を仕立て直した服を着る女性:顔が桜蔵に似ている。好きな男が桜生に夢中になり、カッとなって殺してしまった。男のときは警察官だった。
左近永門:沖家の人たちが桜蔵に似ているという。
「蔵」は醸造家?と聞かれていた→白家はもともと酒蔵で、左近伊吹(神岡茂)が仕えていた。

大元を辿れば左近家っぽいものの、永門が最終的にどうなったか(幸と婚約して、戻ってきたときどうしたか)、子供はどこにいるのかが不明なのでここかもしれないと思いつつ…

※幸の子供※
幸は永門と婚約していたけれども、恐らく白家の男との子を身ごもっている。男と交わった後に自分が白鳥ではないと気付いたのか、「因果の子」と云っている。男と幸は血が繋がっていて、おろそうと思ったが治之が引き取ると云っている?
本当に引き取って育てたかは不明。

・最後に乾が言っていた愛人になりすましている男は?
 →家系図的には一師がおさまりがいいんですけれども、出てくる女が少ない…
・乾の妻子
・十六夜の茶会にいた青年
 →治之が永門と一緒に連れて行こうとした詰襟のこと?

きみの背中で、僕は溺れる

同じ男を好きになる姉弟というシチュエーションが好きで、あらすじを見て読まなくちゃと思いました。
姉の婚約者との恋を描いたお話と、その後を描くお話の二編収録です。

姉のお見合い相手に一目ぼれしてしまった主人公の祐司。愛してはいけない相手だからと、姉の婚約者・透を視界に入れないように努めてきたが、透から呼び出しを受け…

義兄の透がかっこいいのですが弱いところもあってよかったです。でも結果不倫関係になってしまうので、読んで気分がよくない方はいるかもしれないです…
お姉さんや祐司の女友だちがいい人たちなので、余計罪悪感が…ただ、その後を描いたもう一遍と読むとスッキリかも。

↓義兄弟を記録しておくページもありますので、よろしければ…^^

義兄の背中(サガミワカ)

亡くなった姉の夫×弟です。やったね…
義兄弟が好きな方はにはオススメです。「そう、これこれ…この後ろめたさよ…」てなります。

気付いたら表紙はノウセンカズラでは?長野さんお好きなのかな?!

同じ男を好きになる姉弟

「同じ男を好きになる姉弟が読みたい!!」

…と、長野まゆみさんにハマってから常日頃思っているのですが、どこにもまとまってないので自分でまとめることにしました。
他にもご存知の方いらっしゃいましたら一報ください!

おおよその方向性は、下記2パターンに分けました。
「切ない」=弟が一人で思いを抱えて切ない。
「不穏」=姉弟がバチバチ火花を散らす。
ハピエン・バドエンかは書きませんが、ハピエンが良い方はBLマンガがおすすめです…

姉が結婚している場合(義兄弟)

お姉さんが結婚しており、義兄弟の関係になっている作品。
背徳感がたまらないのと、同棲していたり「義兄さん」と呼んだりするところにロマンがあります。

紺シリーズ(長野まゆみ)

お姉さんが結婚後に亡くなってしまっている義兄弟。
お義兄さんの再婚のためには家を出たほうが良いという思いと、好きだから離れたくないという思いで板挟みになる義弟に、私は義兄弟の無限の可能性を感じたわけです。
あと、お義兄さんが思わせぶりなのでドキドキしちゃう。

レモンタルト(長野まゆみ)

お姉さんが結婚後に亡くなってしまっている義兄弟。
二世帯住宅のような半同棲をしているのが天才なんだ。
私が義兄弟の沼に頭まで浸かってしまった原因はレモンタルトです。

シャンゼリゼで(長野まゆみ)

ハイパー激重義弟です。超えられない性別の壁にぶち当たり、片思いでいるしかない感じが切ないようで、想いが強すぎ少し恐怖すら覚えます。

スモモモモモ(長野まゆみ)

出会いが少女マンガすぎる義兄弟なのですが、終盤に向け加速度的に方向性が変わります。すごい。
この手があったか…(?)と思いました。長野大先生ありがとうございます。

白昼堂々シリーズ(長野まゆみ)

義兄弟がメインではないのですが、晟先生←千尋さんにも言及しておきませんとね…
姉弟で顔が似ていて罪深い。

月蝕(塚本邦雄)

双子の姉弟でバチバチです。正直、義兄さんは弟くんの方が好き。弟くんの方が美人なんて、そんなの罪作りです。
ですが義兄さんには秘密があって、それもまた切ないのです。弟くんが義兄さんを見送るシーンに全米が泣く。
切ないシーンがたくさんあるのですが、最後は大変なことになるので”不穏”とさせていただきます。

秋鶯囀(塚本邦雄)

とにかく義弟の寵くんが可愛い。あざとい。可愛い。大好き。いい子。
でもお義兄さんは奥さんであるお姉さんのことが大好きなので、気持ちは伝えられず密かに片思いしているところが愛おし過ぎる。

十二神将変(塚本邦雄)

全体的に難しい内容で挫折しそうになるのですが、もう義兄弟が最高にお耽美なんです。初めて読んだときはおかしくなりそうでしたよ。
義兄弟シーンだけでもいいから…後生だから…

星月夜の書(塚本邦雄)

ワンシーンだけですが、義兄弟シーンがあります。
お姉さんが弟のアルバムを見ていると、夫と二人で写っている写真と、夫にそっくりなレスラーのブロマイドが出てきます。
それでもお姉さんは気付かない。気付け!!
この弟くん、美人幼なじみを振ってしまうなど業が深くて良いです。

口紅-美しき軍医の一生-(川端新・軍事法規研究会)

マンガです。義兄弟要素がなくても、二人の関係性が最高なので読んでください。本当に大好き。加賀乙彦「帰らざる夏」が好きな方は特に。
この義兄弟は、お姉さんが結婚する前からの関係なのですが、結婚を機に同棲することに…。夜に姿を見ちゃった日には、切な過ぎて胸が爆発しました。私が。

聖父子(中井英夫)

義兄弟か?と審議が入るかと思いますが、審議していただきたいのであえて挙げます。
お姉さんが殺害され、弟くんが犯人を追い求めるのですが、どうやら義兄さんが怪しい…

義兄の背中(サガミワカ)

BLマンガです。お姉さんが結婚後に亡くなってしまっている義兄弟。
義兄が義弟大好きで、義弟が献身的。

きみの背中で、僕は溺れる(沢木まひろ)

離れに住む姉夫婦、夫と弟で姉の目を盗んで関係を持ってしまいます。

姉が結婚していない場合

まだ姉が結婚せず恋人の状態か、姉弟でどちらが落とせるか?という状態。

綿柎開(長野まゆみ)

姉弟でバチバチです。というか、お姉さんが一方的に強い。弟くんが長野作品によく出てくる内気さんなので、お姉さんに盗られそうになっていても見ているしかできない。

黄昏に獻ず(塚本邦雄)

姉弟で一人の男を「父」と呼び慕っています。実父かもしれませんが、そのあたりは不明。
姉弟が結構バチバチにやり合います。
「お父さん」の方が、弟くん大好きで大変なことになっています。えっちです。

赤き雪の主題(塚本邦雄)

弟が画家を志していたが目を患ってしまった美少年。相手は画家の師匠。すでに師匠は亡くなっています。
上記と同じく、姉弟がバチバチにやり合います。塚本作品には珍しく(?)、弟くんがお姉さんに強く言い返してくるので大好き。

家族の事情(深沢仁)

恋愛ではないので、このリストに入れるのは要審議ですが…爆エモなので入れさせてください。

旧繁華街袋小路(ためこう)

BLマンガです。お姉さんが突然亡くなってしまい、お互い悲しみを埋め合うように体の関係を持ってしまう。
姉弟の顔がそっくりで、間違えられちゃうのが罪深い。

春雨トンネル(銀川ケイ)

BLマンガです。フォロワーさんに教えていただきました、ありがとうございました!
婚約中にお姉さんが亡くなってしまう、義兄弟手前の二人です。

イノセント(イイモ)

BL短編集です。内容はアダルトビデオっぽいので好き嫌いがありますが…
作品のなかに、弟が義兄を誘惑する短編があります。

さくら、うるわし(長野まゆみ)

「ありえないことについての、たとえ」で、お察しの描写があります。

番外:兄妹で同じ男を好きになる

夏至遺文(塚本邦雄)

お兄さんが男へ送る手紙形式。「本当は妹に告白すべきだったのに、なぜ私に告白してきたの?」という一文で衝撃が走ります。
河出さんが復刊してくれたよ…!!

(塚本邦雄)

妹が病気中に、兄とお見舞いに来た妹の恋人がイチャイチャしちゃいます。
妹はその光景を見て、兄に「あの人は危ないから、ハマっちゃだめ」と忠告するのですが、兄はどんどん男の沼に浸かっていき…

別戀(塚本邦雄)

兄が美青年を独占し、「他の奴には指一本触れさせない」と言っていたのに、妹へ結婚するよう仕向けます。でも、兄に手放す気があるのか…と疑う妹。

ユーモレスク(長野まゆみ)

詳しくは書かれていませんが、付き合っていた女性の兄と、最終的に同棲します。

ささみみささめ

いろんな方向性のお話を集めた短編集。
最後ゾッとするお話から、切ない話、ほっこりするお話まで。

以下、ネタバレあり

ささみみささめ

※名前なし
「ささみみささめ」で内緒話を始める家系の、祖父のお葬式。

ああ、どうしよう

愛美(まなみ):高級マンションのフロント係。
ミラノ:住人。
ナツミ:ミラノの友人。

ちらかしてるけど

ユカリ:ゼミの先輩。
近田:私の同じゼミの同級生。ユカリの夫。
R:ユカリの彼氏。デパート社員。
M:広告研で仲がよかった。

あしたは晴れる

知也(ともや):犬飼の言いなり。
犬飼:副社長。
→犬飼夫人だと思っていたのは、知也の父の姉。犬飼は知也の父を病院生活にした。

行ってらっしゃい

※信子の母のひとり語り

信子:娘。
日々登(かいと):信子の息子。

おかけになった番号は……

坂口:事務機器リースの営業マン
→坂口は老人で、妻だと思ってるのはヘルパーさん?

ママには、ないしょにしておくね!

川嶋:もうすぐ5歳になる娘がいる。
雪円(ゆきまど):自称パティシエの友人。

きみは、もう若くない

※亡くなった祖父を思い出す。

祐人(ゆうと):中学校を卒業した。

あなたにあげる

吉村:アパートの管理人。
松原/田中ハルヨ:ひとり暮らしだった老婦人。

ウチに来る?

※幼くして亡くなった弟を思い出す。似た子を連れて帰ろうとする。

名刺をください

一番(はじめ):偽名。
婆:名刺を集めるのが好き。
後藤京(けい)

一生のお願い

※バスの遅延で遅れて学校に来ると、屋上に見覚えのある傘が…

南々実(ななみ)
ともえ:友人
T:上級生

ヒントはもう云ったわ

※祖母が残した金の像を探す

エリカ
ユカワ:エリカの彼氏。

ありそうで、なさそうな

※老婦人の集まりで、J子の話を聞いていると、自分の話のように思えてきて…

佐登子(さとこ):女学校の教師をしていた。老後生活を送っている。
J子=じゅんじゅん

もう、うんざりだ

わたしに触らないで

レナ:影響力の強いクラスメイト。
ケンチ:乳歯が欠けている
シズナ/ズンちゃん:からだが大きく、運動があまり得意ではない。

ウチ、うるさくないですか?

美佐江
マリナ:孫。
ロミ:息子の妻。東洋系フランス美人
潮(うしお)/ウッシー:ピアノ講師の息子。

ドシラソファミレド

芙美恵(ふみえ):母が亡くなってから家事をしない父を施設にあずけ、独り暮らしをしている。

すべって転んで

小田/Qちゃん
ミッチ:小田が毎日一緒にいた同級生。
レイ

ここだけの話

※箱崎がむかし依頼された絵について。五歳で亡くなった娘が成長した姿を描いて欲しいと言われ、Aに依頼するが…

箱崎:美大予備校の教師。

スモモモモモ

李生(りお)
桃(もも):双子の姉
ルル:飼い犬

春をいただきます!

ハルヒコ:潔癖。綺麗好きを活かして住み込みの家事代行をしているが、行き過ぎて追い出されがち。
理奈:証券会社勤務。

最後尾はコチラです

秋山:むかし父と谷の家に住んでいた。

悪いけど、それやめてくれない?

小早川こずえ:テスト中に鉛筆を削るマイペース。
リョーコ:ソフトボール部。
チャロ、シホ:同級生。

こんどいつ来る?

奈々子:地元が一緒の隆人が帰ってくるのを待っている。
隆人(たかひと):

星月夜の書

札幌市内の古書店で購入。
月で分かれた十二編が収録されており、話はすべて繋がっています。
視点が毎回変わるので、登場人物をメモしながら読むのが吉。

ネタバレ出来ないので、「いつも通りの塚本邦雄」というほかないのですが…笑

義兄弟っぽい描写があるよ(満面の笑み)

目次

一月 凍蝶(いててふ)
二月 鱵網(さよりあみ)
三月 慈姑(くわゐ)
四月 栄螺(さざえ)
五月 牡丹
六月 青鷺
七月 空蝉(うつせみ)
八月 流燈
九月 秋繭
十月 残菊(ざんぎく)
十一月 鷹狩
十二月 海鼠(なまこ)

登場人物

※登場順ではないので注意してください※

醍醐燈子(とうこ):29歳。旧姓・四宮。夫の星六が留守がちのため、不満が溜まっている。
醍醐星六(せいろく):35歳?燈子の夫。カメラマン。祖父がジュネーヴ出身、甘いマスクでファンが多い。

四宮比叡:49歳。燈子の父。植物学教授。
四宮(飯倉)ゆみ:比叡の後妻で、燈子・辰策の義母。39。華道(未然一花流:みぜんいちげりゅう)の家元。
四宮辰策(しんさく):燈子の2歳年下の弟。父と衝突しがち。歯科医の卵で、金剛口腔クリニックに勤めている。
紬(つむぎ):燈子・辰策の母。辰策が17歳の時に、病気で亡くなっている。

梅谷龍遠:辰策の高校時代からの悪友で、同居人。ファッション業界の女主人のブレーン。

燈子・辰策の伯父(名前不明):紬の一つ上の兄。織物問屋・帯清の四代目社長。娘が二人のため、男子の辰策を可愛がっている。
槇:帯清の専務。
錦織清兵衛(にしこり):帯清の三代目。中年で学者贔屓に。
喜志:清兵衛の妻で、紬の母。
橘博士:色彩学の権威。比叡を紬の夫に推薦した。

北宮鳥穂(きたみやとりほ):29歳独身、画家。燈子の友人。
北宮豪爽:鳥穂の父。
白樫七郎太:鳥穂の又従弟で、絶世の美男子。27歳。新興宗教「唯美教(ゆいびきょう)」の教祖。
明日香井眞弓(あすかいまゆみ):豪爽の従妹。七郎太の母。
白樫象限(しょうげん):哲学教授。七郎太の父。

香取梢:燈子の友人。28歳で40歳の夫の後妻になった。夫は香取建設。先妻の娘2人と、自分の娘1人の3人を育てている。
萬里小路(までのこうじ):鳥穂の師匠。豪爽の親友。

志貴劉一郎(しきりゅういちろう):イラストレーター。ゆみが命がけで愛したが振る。女は一生好きにならないといい、五年来のパトロンと付き合っている。
志貴須珠(すず):劉一郎の姉。ゆみの希望で、四宮家の家政婦となる。
佐紀玄七:須珠の夫。
アレッサンドロ・熱田:プロレスラー。玄七に似ている?劉一郎がブロマイドを持っている。

二反田咲子:ゆみのアシスタント。左頬に母につけられた火傷の痕がある。
陽介:咲子の叔父。
流木豪左久・霧住眉子:夫婦で俳優。咲子の母親が女中をしている。豪左久は劉一郎と殊の外ねんごろらしい。

杉島翠巒(すいらん):万葉植物研究者。

魚谷初志:七郎太の級友でファン。唯美教の基礎を作る。
須栄子:初志の母。
勇士:初志の父。七郎太の不思議な力に陶酔する。

木更津香之介:43歳。独身美貌デザイナー。星六を狙っている?

三雲田鶴:金剛口腔クリニックの古参看護婦。
金剛星旗(こんごうせいき):金剛口腔クリニック院長。

手鹽初穂(てしおはつほ):咲子の友人。洋装店「しらぎ」を営む。フランコの養母。
フランコ:ローマでベスト3に数えられるデザイン会社・カピターニ当主。五才の時に在日イタリア人の両親が殺され、隣人の初穂に育てられた。イタリアに移った今も、初穂を実の母のように慕っている。
ピエトロ:カピターニの先代当主。フランコに跡を継がせた養父。
フォルコ:カピターニ営業部長。
黒姫秋作:初穂の父の片腕。辯護士。17歳で両親を亡くした初穂を支えた。
耀介:秋作の息子で跡取り。
犬崎泰作:「しらぎ」のお抱え運転手兼用心棒。元レスラー。

個人的見どころ

一番好きなのは辰策さん!
・親友と同居していて、甲斐甲斐しい親友のことを外では「女房」と呼び、周りをざわつかせる。
・同居人とホストクラブに行ったときにも、「亭主」と同居人が呼ぶもんだから、ホスト達に危うくいけないことをされそうになる。
・歯科で働いており、ひょんなことから絶世の美男子・七郎太を診ることになる。突然加虐心が発動し、麻酔をしないで治療したところが見たいとなって、七郎太を悶えさせる。なんてことでしょう。

劉一郎さんもヤバイ。
・超絶モテる美人家元で幼なじみのゆみを、「女は好きにならないし、一生結婚しない」(=男しか好きにならない?)と言い放って振る。
・5年来のパトロンと付き合っており、ゆみは敵わないと諦める。しかし、夫を亡くして独り身の劉一郎の姉を、ゆみは家政婦にする。こんなに一人の女を狂わせるなんて、罪深い…
・しかも、お姉さんの旦那さんともデキてたっぽい。劉一郎のアルバムの中に、二人で写ってる写真がたくさんあり、旦那さんに似てるプロレスラーも好き。お姉さん気付いてないの?!

その他、美男美女オンパレード。しかも関係性が絡み合っている。
さらっと凄い怖いことが書かれますので、とてもスリリングで面白いです。
塚本邦雄の他の作品が好きでしたら、絶対満足。たっぷり楽しめます^^

フランダースの帽子

嘘と本当が曖昧な、謎めいた短編集。
最後の一行ですべて覆される感じがたまらないです。

中井英夫さんの『とらんぶ譚』を読んでいるときの感覚に近いと個人的に思います。

以下ネタバレあり

ポンペイのとなり

実家に弟宛ての手紙が届き、姉が発見する。差出人は、学生の頃に同じ塾に通っていた男。

鈴木湖(みなと):塾で貴和姉弟と一緒だった。
伊布:湖の長女。
貴和(きわ):私。
弟:年子。中学卒業前に亡くなる。
ハルナ:貴和の塾の友達。
→本当は弟の方が「わたし」。

フランダースの帽子

色んな学校の生徒が集まる交流会に、双子かと思うほどよく似た姉妹がいた。

ミナ(エ):姉。
カナ(タ):2つ違いの妹。→実は弟。「私」のことが好き?
伊東リナ:ミナカナの従妹。ギャラリーのスタッフ
クレア:リナの母親。ベルギー人。ミナカナの伯父と結婚。
→カナタが絵を持っていた。リナが結婚祝いに譲り受ける。

シャンゼリゼで

モモコが開く読書会で、不思議な講義が始まる。
モモコは「母々子」と書くが、母が二人いるからだそうだ…

モモコ(母々子):雑貨店と読書会を営む。
ウカミユリヒコ(芋神ゆり彦):『かみのふね』を書いた詩人。弟。
ウカミマリヒコ(芋神まり妃子):円まり妃(まりい)という画家。姉。
パリス:モモコの家にいる猫。
→語り手はゆり彦?ゆり彦は好きな人(義兄)をまり妃子に奪われたため、子作りを強行。

カイロ待ち

夫婦で新しい家に一目ぼれし、DIYで改装して引っ越すことに。
しかし、隣人たちが変わっていて…

カイロ:猫。
枝光(えだみつ):家族構成が不明な隣人。
ハナ:妹。
サラ:姉。

ノヴァスコシアの雲

新しい勤務先へ向かう途中には、「雲の事務所」という表札を掲げ、老婦人たちが集う邸宅があった。

沢村賢治:ユニバーサルフードの会社で働く。
鈴木一彦:賢治が拾った猫の元飼い主を名乗る。→モデルのKenji。賢治に気がある?
ケネス・シマノ、アラン・シマノ:日系カナダ人の兄弟。
建芳一(たてよしかず):カナダへ渡り着いた気象台職員。孫はカズキ。
ゆりあ、ぺむぺる:猫。
古市:管理人

伊皿子の犬とパンと種

遠田浩紀は、海外でダイビング中に意識を失い救出されたが、記憶を失くしていた。
病院には、浩紀と深い関係だったという老婦人たちが連日訪れる。
浩紀はどんな人間関係を築いていたのか…

遠田浩紀(おんだひろき)
マルト:遠田の妻。
珠洲子(すずこ):仮名。遠田の中学の時の教師だという。
カグー:遠田の飼い犬。
立縫和泉(たてぬいいずみ):遠田が犬を預けたパン職人。

掌篇歳時記 秋冬

長野さん「綿柎開」掲載。
ぼくと姉で、同じ男を好きになるお話…

【登場人物】
田口木綿(ゆう):ぼく。
原島:4つ年長の同僚。
真麻(まお):木綿の姉。祖母の養子なので、苗字は違う。→本当に”姉”なのかは不明。兄かも…
絹十(けんと):年子の弟。取引先の社員。

十二神将変

紺青のわかれ」が良すぎたので、こちらの長編も。
謎解きが難しく、人間関係も複雑なのですべて理解できていませんが、とても面白かったです…!!
犯人が意外な人物で、動機も驚きでした。頑張って読んでよかった…

仏教と暦法が分からずじまいだったので、勉強して出直したいです。
それでも人間関係の入り乱れ・愛憎模様を楽しく読めました!!

第三部で登場人物が多くなったり、暦法なんかが出てきたりして、私は正直付いていけてなかったのですが…泣

それを乗り越えた第四部の義兄弟(天道×空晶)、本当に良い…!!!!
ご褒美でしかない…!!笑

妻子不在を好機と、離れでイチャイチャする義兄弟が尊い。
しかも二人とも普段とは違って口が悪い。お互いにしか見せない一面があるなんて。しんどい。
二人のしぐさや情景、アイテムもいちいち耽美…頭が痛い…
その後、妻が帰ってきたときに必死に隠す二人もニヨニヨしながら読みました。
ありがとう邦雄……

以下、参考HPや登場人物のメモです。
読む際の参考に(間違いあれば、こっそり教えてください…)

参考

・十二神将、薬師如来のビジュアル:文と照合すると、イメージしやすいです
新薬師寺 公式ホームページ http://www.shinyakushiji.or.jp/

登場人物メモ

※年齢の数え方が前後して、少し違うかもしれません…
※名前横の*は第三部以降に使います

飾磨(しかま)家

・天道**(てんどう) 49:主人。精神病理学者。義弟の空晶と仲が良い。母は15歳で亡くなる。
・須弥(すみ)45?:天道の妻。
・沙果子(さくわこ) 23:天道の娘、正午の妹。宝石デザイナー。
・正午(しょうご?)25:長男。朝香建設に勤めている。

淡輪(たんのわ)家

須弥・空晶の祖父の代までお寺の家系。

・空晶**(くうしょう) 42:飾磨家に居候している、須弥の弟。

最上(もがみ)家

薬種問屋。

・立春**(もがみりっしゅん) 25:次男。正午の同級生で親友。薬剤師。沙果子の恋人?
・清明**:長男、立春の兄。
・あさぎ*:旧姓・室津、清明の妻。貴船未雉子の又従姉。
・陽道**:清明・立春の父。49で亡くなる。

・弓削(ゆげ):最上家の番頭。

貴船家

飾磨家の向かい。茶道の家系。

・七曜** 54:主人。
・左東子* 47:七曜の妻。茶道家。
・未雉子*(みちこ) 24:七曜の娘。茶道家。正午に気がある様子。
・六紀(りくき):七曜の父。

真菅家

菓子屋:真菅屋

・主水**:主人。
・琴音*:妻。
・道生** 22:息子。沙果子の同級生。

花屋:幹八(かんぱち)

・幹右**(みきすけ):主人、主水の弟。
・鈴緒*:妻。
・杏八**(きょうはち) 26:息子。
・桃左九(とうさく)19:杏八の弟。

青蓮寺(しょうれんじ)

貴船家が先代から懇意にしている。

・設楽空水*(しだらくうすい) 53:現在の和尚。空晶の師匠で名付け親。
・当麻虚鏡(たいまこきょう):空水の師匠。42歳で亡くなる。

その他

・エスラージ:空晶がインドで出会った男。空晶より一歳年下。

紺青のわかれ

やばい一冊に出会ってしまった。笑

もう絶対に読んで欲しい…
塚本さんは、少年愛文学選「」・長野まゆみの偏愛耽美作品集「青き菊の主題」で知っており、河出文庫の新刊ツイートで偶然見かけ、6月発刊のこちらのあらすじを見たら、「同じ男に想いを寄せた姉弟」の文字。
こんなの私が今一番読むべき一冊と思い、というか今まで知らなかったことを反省し、シャワーを浴びて街へ駆け出したわけですw

長野まゆみさんがどこまで読まれていたかは分かりませんが、ルーツ感がすごい。
人間関係が入り組んでいる、名前が凝っている、文章が美しい、だけど恐ろしい、特に女性が怖い、男性同士の恋が美しい、全編美少年が出てくる。もうこんなの好きに決まってるじゃん!!

難解な部分も多いのですが、美しい文章とトンデモ展開をじっくり味わう感じで最高でした。

以下、個人的なあらすじ(どこに注目するかによって、要約が変わってきますので…)、登場人物(名前が読めないのでメモ)、相関図です。

①蘭(らん・ふじばかま)

少年愛文学選「」に近い感じを受けました。読んだことのある方はお察しという感じで…
父子家庭の少年は、父親が突然いなくなったことで独りになる。男性の恋人から父に宛てた手紙を、父の机から発見する。そこには「心中しよう」と書かれていた…

・主人公:速水駿
・父:速水麟
・父の恋人?:桃園豪(ももぞの ごう)

②月蝕(げっしょく)

私が読みたかった義兄弟ものです。もう最高…ありがとうございます…

姉・萌子と弟・麻比古は双子で、顔もそっくり。ただ、弟の美貌の方が勝っている…
二人とも美術家ですが、その才能は姉の方が上。
豹介は姉・萌子の美貌と作品に一目ぼれしますが、隣にやってきた弟を見て釘付け。
お互い結婚相手が出来ても、義兄と弟は絆を深めていきます――――…

麻比古は才能ないままで…とつぶやいた豹介、切な過ぎオブザイヤー

③秋鶯囀(しゅうおうでん)

義兄弟その2。本当にありがとうございます。

志学はぐうたら亭主、妻の真帆はキリスト教にハマり(どうやら牧師がイケメンのため)、その姉夫婦の家に居候する寵(なんでもこなす器用な美少年)。夫と弟がだらだらしているので、それに真帆が呆れている構図。不器用な志学のことを寵は密かに想っており、庇ったりお世話したり…

寵が志学に惚れちゃうシーンが最高です。
立場上、想いを伝えられない描写もまた最高。

さらに、真帆が通う教会にはいろんな年齢の男性が集まる聖歌隊があり、それもまたお耽美…
年齢が様々なのに、なぜかみんなソプラノボイス…

④冥府燦爛(めいふさんらん)

現世と死後の世界を行き来する不思議なお話。別世界の人を愛してしまうと、罰として二つの世界の間に取り残されてしまう。

楽器店の番頭・麻植(おい)は、二つの世界の間に取り残された男。愛する主人公を冥界へ誘い、さまざま見せて回る。

⑤聖父哀傷図(スタバト・パーテル)

この作品集では珍しく、女性視点です。
森介くん、人と話すのが苦手なんですが、書道も華道もすぐに上手にできてしまう天才。
色んなおじさんに気に入られています…

個人的には弟の和讃くんが可哀想で泣けました。

⑥紺青のわかれ(こんじょうのわかれ)

表題作だけあって、登場人物が多い…!!笑

メインは真昼くんと月館先生です。
草木染めの研究を行っていて、タイトルの由来です。
月館さんの影響で、真昼くんは草木染めにハマってしまい、泊りでフィールドワークした時に…って最高か?

なのに最後はお得意のハイスピードどんでん返し。悲しい。真昼くん…

⑦見よ眠れる船を(みよ、ねむれるふねを)

島根の宍道湖が舞台。
ちょうど行きたいと思って調べていたので、とってもタイムリーでした!!

檜嗣×驟太がめっちゃ好きです。
アカデミックなつながりで仲良くなるのも素敵で、文通の仲から実際会った時の燃え上がり方たるや。
お互い好きが溢れていて最高。

主従も最高で…
特に従者の蓬十が、鵜嗣を思って喜怒哀楽を見せるすべてが切ない。蓬十さん、推せます。

⑧与那国蚕は秋の贐(よなくにさんは、あきのはなむけ)

蛾が苦手、という凜一シリーズの正午くんを彷彿とさせるお兄さんが出てきます。
しかも兄弟モノ。ありがとうございます。

兄弟で同じ女性と一悶着あったり、美少年がやってきたり、パトロンが来日したり、イベントが盛りだくさん。

・兄:花瀬 真名夫(まなぶ)→化粧品輸入会社社長。実弟を愛している。蛾が苦手。
・弟:叡智(えいち)→写真家。

・姉:物部 鳥奈(ものべ とりな)→モデル。美女。真名夫に抱かれようとするも…
・弟:香示(こうじ)→超絶美少年。姉の紹介でモデルになる。

・ボリス→ブルガリア化粧品会社社長。旅行で真名夫に惚れてしまい、輸入の権利を託す。

⑨父さん鵞鳥嬉遊曲集(とうさんがちょうメヌエットしゅう)

「嬉遊曲集」なので、二つのお話の詰め合わせです。

Ⅰ.数学:人がいない町でお菓子屋を始める父と娘。唯一の客は、怪しい医者。
Ⅱ.ソロモン・グランディ:個人的に、一番女性にゾッとした話です。

⑩朝顔に我は飯食ふ男哉(あさがおにわれはめしくうおとこかな)

ここにきて、超絶美少年バレエダンサー。
このド真ん中美少年に、周りも釘付けです。

ズッ友三人
①青垣 岬(あおがき みさき):教授(らしい)。現在は病気で家にこもっている。
②井狩 壮士(いかり そうし):画家
③醍醐 楔一郎(だいご けいいちろう):料理人

・太刀彦(たちひこ):岬の息子。超絶美少年バレエダンサー。
・藜子(れいこ):岬の妹。未婚で岬の世話をしにやってくる。愛する人が実は…
・カローラ:岬の妻。太刀彦を産んで亡くなってしまった。
・ジュリアン:カローラの元恋人?

とりあえず以上…
ネタバレ無しで読んでいただきたいので、詳しくは書けませんでしたが、刺さるものがあればぜひ!!