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未来青年写楽(七社)

150年後の未来からやって来た「写楽」と名乗る美青年とのラブコメです。テンションが高め。
設定と世界観が独特です。未来では医学の発達により男性も子供を埋めるようになり、未来からやってきた写楽は、彼女いない歴=年齢の冴えない主人公に「子供を産んでくれ」と迫るのですが…

最後に少しだけBがLするのですが、設定が凝られていて圧倒されたまま終わってしまいました…

半島

白水社『日本風景論』の中の、「半島」をテーマとした一冊。
日本各地の半島の中から、能登・九州(佐賀・長崎)・出雲で連想する話や、塚本さんが理想の半島を夢想したものなど、方向性は様々です。

「半島列傳」が小説のような形式で面白いです!

作中の物語は九割九分作り話だと後書きで書かれていますが、「中井英夫が編集部長の〇〇に投稿していた~」等、時々現実味が強い要素が含まれるので、どこまで本当なのか分からずドキドキします。それが先生の狙いなのさ…(手のひらの上で転がされる)

Peninsula

そもそも「半島」という日本語についての批判。
まず「はんとう」の発音が好きじゃないし、外国語の発音がいいとのことです。笑

能登半島

能登半島を訪れた時の、友人との会話の記録のようなもの?
能登のお祭りや、美しい地名についてのお話。

續・能登半島

能登半島で出会ったタクシー運転手「水守昭三(みずもりしょうぞう)」の話。
水守は三歳で母親と死別、母方の祖母と暮らししていた。水守の父親は別の女性と結婚していたが、その女性は子供が出来ないからだであったため、水守は父親のもとへ引き取られる。数年後に継母も亡くなり、後妻も数年で急逝してしまう。いよいよ懲りた父親は、水守の母方の祖母を呼び寄せるが…
少しホラー要素のあるお話です。

最後は少し義経の話が出てきます。
義経・弁慶の容姿について、美青年と巨人という世間のイメージは史実と違うのに、なぜ受け容れられているのか?という話が面白かったです。

再・能登半島

能登半島と、義経や後白河天皇などの歴史上の人物の縁を紐解いていく。
歴史を全然勉強していない私にとっては難しすぎて説明できずすみません(泣)

幻想半島圖

塚本さんの理想の半島についてのお話。理想の形も図で示されています。
地名や気候、名産など細かく決められていて面白いです。

半島列傳

半島で連想する人物についてのお話です。
形式は小説っぽいですが、「」はついていないです。

1.火の國半島

「火の國半島」は塚本さんが命名したもので、佐賀県・長崎県の辺りのこと。
その地域出身の二人の男性が登場します。二人は別々のお話です。

①池畑蜂太

若かりし頃、「阿朱尉(あしゅい)」のペンネームで短歌を投稿していたため、私(塚本)と交流があった。
長年音信不通であったが、ある日電話がかかってきて会うことになる。その際に聞いた半生が壮絶だった…

蜂太氏、リスのように目がくりくりとした、草食動物的な男で可愛い。

②黒木笹生

“私(塚本)”が若い頃に住んでいたアパートの隣人。映画館でバイトをしている二枚目半の好漢。人懐っこい性格で、私の家に上がり込んでは酒を飲み、自分の恋愛遍歴を得意げに語ってきた。だが、黒木のアパートに女性が訪ねてくることはなく、出入りするのは硬派な男性のみ。
そんな中”私”は、黒木の父親からの手紙を読んでしまう…

少し切なくて素敵なお話です。二人の関係性がとてもよい…!!
黒木が夜中に嘔吐している音が聞こえて、”私”が助けに行くシーンが最高です。看病し終わって落ち着くと”私”は部屋へ戻ろうとするのですが、黒木は甘ったれた声で「もう三十分だけゐてくれよ」と引き止める!!実家の父親から荷物が届いた後なので、精神的にキツイからなんです。
こんな弱いところを見せた黒木さんですが、裏ではかっこいい一面もあって、そこに”私”も感動しちゃうわけです。

ラストの黒木さんもめちゃくちゃ切なくてカッコイイです!!!好き!!!!!!!!

2.八雲半島

島根に住む歌人仲間・祝部常春と私が出会うところから始まるお話。
常春と従兄妹の家へ泊りに行くのですが、そこで大暴露大会が開催されます。

一番の衝撃が、父と叔母の夫は義兄弟だというし、何なら父は母も叔母も叔母の夫とも寝てたし、叔母の夫もそうしてたし、四人はいろんな組み合わせで遊んでいたと…なんてことだ。男二人だけで寝ることも…
というわけで、その子供たちは両親がどの組み合わせか分からないそう。可哀想すぎる。

関係性が入り乱れているので、分かりにくいですが相関図です。

祝部常春:黒髪長髪で、左目が弱視のため薄紫のサングラスをかけている。道楽者で女性にモテる。妻を悪性インフルで亡くし、妹を後妻に娶った。父親の後妻とも関係を持ったという話も…?

七瀬・八春:姉妹で、どちらもすでに亡くなっている。

勝輔:男が好きなため結婚できない?

耳猫風信社

他作品との共通点が多く、作品名も公式ショップと同じという、ファンには嬉しい一冊です。ただ今のところ電子化していないので、読んでみたい方はお早めに古本を探していただければと…
天体議会(プラネット・ブルー)」のような仲良し少年二人が登場しますが、そこに「夏至祭」の黒蜜糖・銀色のような猫族が登場し、ハイブリッドな内容です。しかし、そこにキイルさんという大人な男性が登場することで、少年たちの憧れの対象がいる点が他の作品と違うと感じます。
また、他の作品は第三者視点から書かれることが多いのですが、本作は「学校ともだち」のような日記の体裁で、一人称「ぼく」なので全体的に可愛い印象です。時々垣間見えるトアンの心情が健気。

このキイルさん、何気なく助けてくれたり、ソラに煙草をあげる時に自分で喫ってからくれたり、爆イケなので大好きです。カシスくんとの距離感もまたたまらん。長野作品ではなかなか見られない大人な男性だと思います。

以下、ネタバレあり

【登場人物】
トアン:ママのことが好きだが、年頃なので素直に言わない11歳。
ソラ:トアンの親友。大人びている。
サリィ:トアンの上の弟
ノエル:もうすぐ3歳のトアンの下の弟。
タチ小父さん:地球堂の店主
ソイ:ソラの二つ違いの兄
ルビ:トアンの従妹。11人家族で騒がしい。ソラと付き合っている?
パァル:ルビの姉
リリン:級友
イレール先生:トアンやソラの元担任の先生。トアンのママが焼くミルリトンが好物。

【猫族】
カシス:青と金の睛のコンビネゾン。市長夫人の家で生まれたが、片目が金のため教頭夫人の家へ貰われた。
キイル:カシスの父。名前は龍骨という意味。イレール先生の猫。
ツァイス:カシスの上の兄。トアンのママが焼くパンが好き。耳猫風信社で働いている。
黒白斑仔猫:ツァイスの甥っ子。ツァイスを「叔父さん」と呼んで怒られている。
シルカ:カシスの下の兄。教頭夫人の猫。灰色巻き毛のチンチラ猫、額がフラッシュピンク。
フランセス:キイルの妻?市長夫人の猫。
受付の女:ベリルの大きい指輪

※後ろ盾(パトロン)→飼い主のこととする
教頭夫人:猫に何かあるとうるさい。飼い猫→カシス、シルカ
市長夫人:血統を重んじる。
イレール先生:普段の対応はすこぶるいいが、市長夫人には弱い。飼い猫→キイル

【キーワード】
眼帯の少年、フラッシュピンク(髪、スポーク)、紅玉印の洋墨(インク)、茴香(アニス)の匂い、うさぎ草、映画《月の船でゆく》、榛(はしばみ)のリキュール(夕映え色)、アナナス酒、五稜子(スターフルーツ)、ラジオ

【お店・会社名】
地球堂:雑貨店
ZEP DINER:飛行船型の食堂
スカイピクニック:パンケーキがある
耳猫風信社:『猫屋の風信』
山猫の店:文具店
ミケ・ランジェリ:ソラが倒れた時にごちそうしてくれた店。
タマラ:埠頭近くの店。船でやってくる露店商のたまり場。
猫舌:喫茶店

他作品との共通点

「これ見たことある!」っていうメモです。

フラッシュピンク:髪やスポークの色。「テレヴィジョン・シティ」のイーイーが琥珀色の髪を、前髪の一部分だけピンクでした(靴下も)。
アナナス酒:「テレヴィジョン・シティ」の主人公がアナナスですが、そもそもパイナップルのことらしいです。

紅玉印の洋墨(インク):「都づくし旅物語(遊覧旅行)」の「小さな紅いビー玉」では、紅い洋墨をお店で見ていた少年たちが猫族の夏至祭りに呼ばれます。

黒服の男:少年二人が冒険しているところに現れる怪しい男はだいたい黒服なんですが、今回はキイルさんなのでいい人だと分かりました。

映画《月の船でゆく》:のちに同じ出版社から『月の船でゆく』という作品が刊行されますが、「都づくし旅物語(遊覧旅行)」でも「月の船でゆく」という短編があり、ナポリという猫と少年が波止場から船に乗ります。

『猫屋の風信』・ラヂオ:「都づくし旅物語(遊覧旅行)」にも「猫屋の風信」という短編があり、ラヂオから猫の集会案内が流れます。

ガム:「都づくし旅物語(遊覧旅行)」の「月の船でゆく」でも、小学校の近くを通るとガムがつく、という話がありました。

この作品でも女性が強いので、そう考えると本作の”犠牲者”はキイルさんかもしれません。猫の血統を重んじる市長夫人は、「雨更紗」の女主人のようで、半ば無理矢理男女をくっつけてしまう強引さがあるように感じました。
息子のカシスも、キイルがなりたくて父になったわけじゃないことを知っているので、甘えられないしなんだか切ないです。

温室の恋

美青年の描写、温室の描写、感情表現・爆発度が個人的におすすめです。
ミステリーっぽいので、読了後の後味は悪めです…

美青年が、色白・末っ子・絵描き・病弱、主人公の男性も見た瞬間に言葉を失うほどの美貌。
これが完璧なスペックなのです…
そのせいで女性を狂わせてしまい、大変なことになるお話です。

花火

女性主人公視点で、美しい青年に恋するお話です。
浮気のお話なんで、気持ちのよいお話ではありません…
ただ、ミン平がひたすら美しい。

夢の殺人

主人公の藤次郎は、住み込みのレストランで出会った女性と恋仲になる。
しかし、そこに美青年がやってきて、彼女は美青年の方に気を取られ…

考えさせられるラストなので、ぜひネタバレ無しで読んでいただきたいです。

美男子と煙草

完全にタイトルに魅かれて読みましたが(笑)、ユーモラスで楽しいです。
タイトル通り、浮浪者の少年たちが煙草をすうシーンいいですね…

偽悪病患者

アンソロジー『少年ミステリー倶楽部』掲載の「凧」、青空文庫の「疑似新年」を読んで気になったので。
しかも最近刊行されていたなんて!!読みやすくなっていて良かったです。

大下宇陀児さんは手記・手紙形式の作品が多く、内面描写が多いのが素敵です。感情移入しやすく、それがまた辛さを倍増させます…
展開も二転三転するので、予測がつかず面白いです。

★偽悪病患者:兄と妹の手紙のやり取り形式。妹とその夫が暮らす家に、兄の知人でもある美男子がやってきて、兄は「そいつには近付くな」と忠告したものの…。この美男子描写は必見…!!
★毒:新しい妻を迎えた夫は、妻が与える飲み物で体調が悪くなっていく。それを見た子供たちは…
★金色の獏:骨董屋の主人と、金色の獏の置物を探し求める男の駆け引き。
★死の倒影:自分の顔にコンプレックスがある主人公。主人公が犯した殺人についての告白(手紙形式)。こちらも画家の先生の弟子が美少年ですよ…
★情獄:親友との友情、その妻との恋で板挟みの主人公。三人で一つ屋根の下に暮らしていてつらい。主人公と親友の、学生時代が本当に親密で…「自分が女だったら、こいつに一目惚れしていた」とまで言っています。
★決闘介添人:画家の視点の日記形式。男の弟子二人は、女弟子を取り合っているのですが、実は画家も女弟子に密に想いを寄せていて…
★紅座の庖厨:胃が弱く、すぐに腹を下してしまう主人公。ある日、不思議なレストランを見つけ、振舞われた料理はお腹いっぱい食べても、腹はくださなかった。その支配人が、「ここで手術を受ければ丈夫な胃と取り替えます」と提案する。その後厨房で見せられたのは、少年の胃を中年の男の腹へ移植する光景だった…
★魔法街:魔法使いのしわざとされる怪奇事件が次々と起こる街。最後、眉目秀麗な青年が市長の前に現れて「犯人を知っている」と言うが…
★灰人:盲人になってしまった老人と、老人に拾われた犬。老人が不在の間に、奥様が男を家に呼び出すところから、不穏な空気が家に漂い始める…

貧窮問答

「泥棒と若殿」のような身分差友情ストーリーだよ!!というのを、文庫本の解説で発見し「読まなくては」と思って真っ先に購入したのですが…
「泥棒と若殿」よりアカン繋がりですねこれは…!!笑
でも私はめちゃくちゃ好きです…どうしようもなくバカな男が好きなので…

・内藤孝之進(27~8):ボロボロの屋敷に独りで住む、貧乏な旗本。色が白く、整った容姿をしている。人を自然と惹きつける魅力がある。
・又平(26):渡奉公で孝之進に一日だけ雇われるが、主人の魅力に引き寄せられ、奉仕するようになる。

この内藤孝之進という男がヤバイんですが、美人で義理人情に厚く、何となく放っておけない。俺が守らなきゃ、ってなって又平はお金のない孝之進に貢いでしまうわけです。
孝之進のひも男ムーブがやばすぎるんですが、又平が貢いでしまうのも分かるくらい、孝之進は魅力的なんです…

(孝之進のひも男ムーブ例)
又平が奉公に行った朝、朝ごはんを作ろうとしたら味噌も米も何もない
→孝之進に買ってきてと言われるが、孝之進はお金が無いので又平が立て替える
→しかも孝之進、「味噌汁は豆腐で」など、あれやこれや注文する
→自分は万年床でゴロゴロしてる(めんどうなので城にはいかない)
 仕事をしろ…笑

孝之進の容姿の描写が美人過ぎてクラクラするのと(又平は「お公卿さまみてえだ…♡」と一目ぼれ)、白い足に女物の下駄を履いているのが私の癖にクリティカルヒットなんですがどうしましょう…
又平、孝之進と少し一緒にいただけで「躰がくにゃっとした」って言ってるんですが、つまりは『骨抜き』ってことですよね…?!
あ~~もう何て罪深い男なの孝之進。

ラストは「?????!!!!!」って感じです^^
(これは青空文庫にないので、文庫購入していただくことになりますがぜひ…!!)