凜一を主人公とする、連作シリーズです。全四巻で、すべてお話が繋がっています。集英社やその他書籍紹介では、「凜一シリーズ」と記載されていますが、公式HP・耳猫風信社では「白昼堂々series」と書かれていますので、シリーズの呼び方は様々なようです。とりあえず、公式HPの呼び方でいこうと思います。
主軸は凜一と氷川の恋愛ですが、他の登場人物もいろいろと抱えており、少年・青年の葛藤と成長の物語だと感じています。何回読んでも面白いので、ぜひ読んでください…
特に読み込んでいる作品なので、考察めいたものは別ページにします。
シリーズの順番
①白昼堂々
1976年~1977年:凜一中学三年冬~高等部進学秋
②碧空(おをぞら)
1978年:凜一高等部二年五月~夏
③彼等
1979年:凜一高等部三年五月~夏
④若葉のころ
1981年:凜一K大二年晩春~初夏
登場人物
名前のある人物のみ。個人的に気になった要素もメモっています。
★原岡 凜一(はるおか りんいち)
中高一領学園→K大/幼い時に両親を失くし、祖母と二人暮らし。祖母は華道の古い流派・天海地(たかち)流の家元で、自身も師範。
左利き/苹果が好き/方向音痴/慢性気管支炎
・氷川 享介(ひかわ きょうすけ)
東和二高→明倫館大/高校、大学とフットボール部の主力QBとして活躍。2つ違いの兄がいたが、兄が中学生になってすぐに亡くなってしまう。凜一の従姉の省子とは、小学校からの付き合い。右利きだが、左も使える。
★☆小椋 千尋(おぐら ちひろ)
中高一領学園→K大→明倫館大の英文学教師・和紙の卸問屋/凜一の母方の叔父だが、10歳差なので「兄さん」と呼んでいる。鎌倉が生家だが、京都の大学進学までの6年間を原岡家で過ごしたため、凜一とは兄弟のような関係。
☆小椋 正午(おぐら まひる)
鎌倉の男子校→京都の大学/凜一と一つ違いの従弟。茶道の家系に生まれ稽古中。蛾や蝶が苦手。凜一と同じで気管支炎を起こしやすい。
☆小椋 暁方(おぐら あきを)
鎌倉の男子校→K大/凜一の従兄、正午の五つ違いの兄。フットボール部のWRとして活躍のかたわら、茶道の若先生として茶会にも出席。
☆小椋 十時(おぐら とき)
横浜の大学の文学部教授/正午・暁方の父。千尋とは一回り以上離れた兄。
・有沢 改(ありさわ かい)
一領学園高等部編入→アメリカの州立工科大/凜一の一つ上の先輩。不思議な写真を撮る。心臓に病を抱えている。両親は有沢が生まれた時に離婚しており、父は北米に住む医者で主治医。母の姓は成島(なるしま)。
★英 千迅(はなぶさ ちはや)
K大(医学部から理学部へ転部)→K大理学修士→ハイヤー運転手/凜一の祖父の庶子=千尋の異母兄で、養子先の英姓を名乗っている。凜一の父の直弟子で、天海地流の教授格。伊達眼鏡。
★原岡 省子(はるおか しょうこ)
凜一と一つ違いの従姉。母親は天海地流の経理担当をしている。父親は原岡の家へ婿養子に来たため、苗字は原岡。
★原岡 晟(はるおか あきら)
一領学園→K大/凜一の父。心臓が弱く、凜一が八歳の時に亡くなっている。右利き。
・原岡 百合(はるおか ゆり)
旧姓小椋。凜一の母。
・藤沢 涼子(りょうこ)
東和二高→東和大/フットボール部のマネージャー。
・内藤
東和二高/フットボール部のオフェンスライン。
・真部 久穂(まなべ ひさお)
明倫館大/フットボール部のマネージャー。
・氷川 啓介(ひかわ けいすけ)
明倫館付属中/享介の兄。心臓が弱く、13歳で亡くなる。もとは左利きだったようだが、右も使える。
・立河(たてかわ)
明倫館中→K大/啓介の二つ上の先輩。
・小椋 日菜(おぐら かな)
旧姓深見。千尋の妻。
・小椋 史野(おぐら しの)
千尋と日菜の娘。
・沢村 崇史(さわむら たかし)
正午が通う男子校の教師。フットボール部の顧問。
・江島 黎一(えじま れいいち)
K大医学部→竹雄の医院/千迅の二つ上、高校・大学が一緒。
・江島 響一(えじま きょういち)
黎一の弟で、千迅の同級生。海釣りの最中に波にさらわれてしまい、中学の時に亡くなっている。
★江島 菱一(えじま りょういち)
K大附属病院→竹雄の医院/黎一の父。千迅は「大(おお)先生」と呼ぶ。K大で凜一の父と知り合い、天海地流門下となり、師範の資格をもつ。
・美奈子(みなこ)
黎一の妻。
家系図
年表
算数を間違いがちなので、おかしいところあれば教えてください…
※凜一は早生まれ、氷川さんはおそらく9月生まれ、その他不明なので早生まれではないと仮定しています。
193?年:晟生まれる。
1941年?:百合生まれる。
194?年:千迅生まれる。
1951年?:千尋生まれる。
195?年:千迅・千尋・百合で於じまに泊まる。千迅8歳頃。
195?年:晟が高校生の時、家元が百合を婚約者と決める。
1957年?:暁方・啓介生まれる。
1959年:氷川・省子生まれる。
19??年:晟が大学を卒業、百合と結婚。
1960年:有沢さん生まれる。両親が仲違い。
1962年:凜一・正午生まれる。
1963年:凜一が1歳の誕生日の時に、両親とともに写真を撮る。
1963年:百合が亡くなる。凜一1歳半。
1964年?:千尋が中学進学・御殿山へ家出。
196?年:千尋が晟の再婚話の邪魔をする。
196?年:(上記2年後)晟にバレる。
1970年?:千尋がK大に進学、京都へ。
1970年5月:晟が凜一を連れて京都へ行く。
1970年6月:啓介が13歳で亡くなる。
1970年夏:千迅が黎一と旅に出る。
1970年秋:晟が30代で亡くなる。凜一8歳。
1970年9月末:千迅が千尋を連れて黎一を訪ねる。
1972年:享介、母親に兄と間違えられる。
1975年:凜一が池畔の家で千迅に逢う。凜一13歳。
1975年夏:凜一が池畔の家で千迅と肌を合わせる。
1976年:晟の七回忌。
1976年夏:凜一が千尋の池畔の家へ二週間泊まる。
1976年秋:千尋が御殿山を出禁になる。
1976年冬:『白昼堂々』スタート。凜一14歳・中3。
1977年春:千尋の謹慎が解ける。凜一15歳・高1。
1977年?:正午が養子に出されると告げられる。15歳。
1978年:氷川が明倫館大へ進学。
1978年5月:『碧空』スタート。凜一16歳・高2。
1978年5月半ば:凜一が有沢と出会う。
1978年5月?:正午が家出。
1978年6月下旬:千尋の披露宴。
1978年8月:有沢さんがアメリカへ発つ。
1978年8月?:有沢さん3回目の手術
1978年:江島の披露宴。(千迅と3年ぶりに逢ったことから逆算)
1979年4月:正午が高2に進級、理系の特進クラスへ。先輩に目を付けられる。
1979年4月:省子が大学の工業デザイン科に進む。
1979年5月:正午が連休中に先輩の家へ泊りに行く。
1979年5月:『彼等』スタート。凜一17歳・高3。
1979年7月:正午が一領学園への編入試験に合格。
1979年8月:暁方がアメリカへ発つ。
1979年:有沢さん復学。
1980年1月:史野が生まれる。
1980年春:凜一がK大へ進学。京都の池畔の家で暮らし始める。
1980年秋:有沢さんが州立の工科大へ進学。
1981年春:正午が京都の大学へ進学、凜一と暮らし始める。
1981年春:『若葉のころ』スタート。凜一19歳・大2。
『若葉のころ』の曜日:若葉は1週間くらいのお話なので、整理してみます。
?:午前中に有沢が訪ねてくる、凜一は授業後にメギを持って千尋を訪ねる、夜は正午も有沢も花見
?:氷川が家に来て「木曜日会おう」と約束する、有沢は舘教授に呼ばれる
~数日空く~
水:千迅が京都へ来て、凜一と於じまへ泊る
木:凜一が朝に氷川と会う、その後千迅と竹雄へ
金:竹雄から京都へ移動
土:有沢が凜一に逢いに来る
日:凜一が家元からの手紙を受け取る、氷川が家へ来る
MAP
地図は手書きのため、縮尺がおかしくてすみません…
路線は現在のもので、作中当時と同じかは調べられていません。
東京(関東)
【都内】
・九段 第一美術館:凜一が省子になりすました美術館。江戸城跡の近く。→東京国立近代美術館?
・連行寺:氷川が省子との待ち合わせに指定した駅。→無さそうですが、文京区に連光寺がありました。
・御殿山:凜一の実家・一紺亭がある。近くに恩賜公園、西原高校(氷川のFBの試合があった学校)がある。→後書きや位置関係から、井の頭公園(吉祥寺)と考える。井の頭公園内に「御殿山」があり、そこを駅と考えると、東に池がある(彼等より)のも合致。白昼で省子が逃げた西園も園内に。井の頭公園のHPにマップがあり、御殿山・池・西園の位置関係が分かります。
※凜一と有沢さんがエゴノキを見た小学校:御殿山から二駅、そこからバスで四つ目の停留所→実在するかは不明
・新宿:氷川と凜一が乗り換える。
・杉並区:氷川の高校と実家=永福がある。
・四ツ谷:氷川が通う予備校がある。
・銀座:凜一が花を挿けに行った美豆木(みずき)画廊がある。交詢社通りと並木通りが交叉したところ。
※「白昼堂々」で、銀座から凜一・氷川の家へ帰るシーンについて:銀座から凜一・氷川・省子の三人で帰る際、凜一と省子は四ツ谷で乗り換え、氷川は新宿まで乗って私鉄に乗り換えでした。氷川を引きとめない凜一に省子は苛立ちます。御殿山経由でも氷川の実家・永福へ帰れる。→銀座から丸の内線で来た場合、凜一と省子は四ツ谷で中央線に乗り換え、氷川は丸の内線で新宿まで行き、京王線に乗り換えたと思われます。氷川の家・永福町は新宿から京王線に乗り、井の頭線に乗り換えて一駅が最短ですが、御殿山≒吉祥寺から逆方向の井の頭線に乗れば帰ることができる、という意味ではないかと考えます。
・下連雀:省子の実家。→三鷹市の地名。吉祥寺の先にあるので、御殿山≒吉祥寺とすると近い。
・本宿:有沢の母方の実家。→府中市の地名。有沢は「御殿山と同じ方向」と云っていますから、この辺りと思います。
・白山:家元と伯母が出かけた。→文京区の地名。
・高井戸:千迅さんが住んでいる。
・御茶ノ水:省子が画材を買う。
・代々木:凜一が模擬試験を受ける。
【その他関東】
・龍安寺:原岡の菩提寺。山の中にある。→山の中ではなさそうだが、川崎に同名のお寺がある。吉祥寺からすごく遠いわけではないが、河を越える必要が…
・万瑞院:茶会が開かれた鎌倉のお寺。→これは不明です。
・成田空港:有沢がアメリカへ行く際に飛行機に乗る。
・小椋家:鎌倉でうっそうとした緑に囲まれている。どのあたりかは不明…
・箱根:原岡家が贔屓にする宿がある。
京都
K大=京大、明倫館=立命館としています。
【千尋の下宿近くの神社】
白昼堂々にて、凜一と晟が千尋の下宿近辺を訪れた時の道と、氷川が凜一を追ったシーンについて考えてみます。
・千尋の学生時代の下宿:凜一は「銀閣寺から若王子橋へ抜ける道と、白川通の間」と云っています。哲学の道と白川通の間、上図で囲ったあたりではないでしょうか。
・凜一が父親と訪れた神社:「大豊神社」と思います。公式HPページがありますので、Googleマップと合わせて見ると分かりやすいです。凜一が語る神社の特徴は下記。
①脇社に猿と鳥の像がある→神社内の「愛宕社」は鳶を、「日吉社」は猿の像があり合致。
②シダが繁茂→HPの「大国社」の後ろにはシダのような植物が見えます。
③疎水の小さな橋を渡る→大豊橋という小さな橋が疎水に架かっています。神社はその奥。
④藪椿が生えている→HPには椿の画像も。
氷川さんが追ってきたルートからも確認してみます。氷川さんが千尋さんに伝えたのは下記。
①岡崎方面
②文殊堂あたり→金戒光明寺のこと?文殊菩薩を祀っている、くろ谷のお寺。
③黒谷の緑地で氷川が降りる→金戒光明寺のあたりだとすると、大豊神社まで歩いて15分程度。
凜一がタクシーでやってきたルートは、K大附属病院から通り(大きいのは丸太町通?)を進んで疎水に突き当たるルート。病院から東へ通りを行くと疎水に突き当たり、ちょうど大豊神社あたりになります。
【池畔の家】
千尋が以前住んでおり、その後凜一と正午が住んでいる家。ムックに「深泥池(みぞろがいけ)」と明言されていますので、これは確定です。
作中では、上賀茂の山裾に続き、突き当りの一軒家とあります。
【暁方の下宿】
K大のグラウンド脇の疎水に沿って歩き、それが途絶えた勾配の石段を上ったところにあるとのこと。言われた通りに疎水沿いをGoogleマップで南下すると、疎水が途切れて数段の石段が現れます。そのあたりでしょうか?
【氷川の下宿】
上図内に印した「紫野大徳寺町」あたりではないかと考えます。氷川の下宿先の特徴は下記。
①明倫館近く→校舎は徒歩で30分ほど。近いと言えば近い…?
②塔頭が点在する寺町→塔頭が点在するかは確認できませんでした…
③凜一の家=深泥池と氷川の下宿の中間地点が賀茂川になる→この位置は良い感じです。
④斜向かいに緑地→いくつか公園があるので見ましたが、「碧空」の扉絵にピッタリな公園は無く…
【凜一と氷川がキスした橋】
「彼等」で二人はどこでキスしたのか考えてみます。
まずは凜一が独りで歩いたルート。
府立植物園の正門→賀茂川沿いを歩く→氷川に出会う
氷川と合流し、そのまま賀茂川沿いを歩きます。止まってキスをしたあたりの特徴は下記。
二つの川の合流地点、東山まで三駅→高野川との合流地点の「出町柳」駅から乗れば、京阪本線で三条まで二駅、三条京阪で地下鉄に乗り換えて東山まで一駅の計三駅。「出町柳」のすぐ近く、賀茂川に架かる橋は「出町橋」ですので、これではないかと思います。
【啓介の墓、中学校】
啓介は「深谷」の「清厳寺」で眠るとあり、通っていた明倫館の附属中学校も深谷とのこと。
清厳寺は実在しないお寺のようですので、深谷で検索すると「深谷町」という地名はあり、愛宕念仏寺というお寺もあります。だいぶ山の中でお寺のイメージとしてはいいのですが、中学校が付近にありそうかと言われると微妙です…
条件が揃わないので、地図には含めませんでした。
【於じま】
最寄り駅は東山、八坂神社の近くで、川端の小径を入って入り組んだ先に店があるとのこと。
【深見家】
町中ということしか分かりません…
【花見会場】
有沢がうずくまっている正午を連れて帰った花見会場。有沢が「円山公園」と云っていました。
【氷川が凜一に見せたかった桜】
「若葉のころ」のラストで二人が見た桜はどこなのか?特徴は下記。
明倫館のグラウンドより山に登る、私有地っぽい
→立命館グラウンドの奥に、「原谷苑」という恐らく個人所有の庭園があり、しだれ桜が見られるようです。このあたりではないかと。HPがありますので検索してみてください。
【三井寺】
氷川が兄と訪れたと云っていた寺。京都からは出てしまいますが、滋賀にあるお寺。京都寄りなので行きやすそうです。
その他
・蓼科高原:凜一と晟の思い出の場所。→長野県
・マサチューセッツ:展覧会の時、有沢の写真紹介に「Mass」とあったので、住んでいると思われる。父親は北米とも。
・竹雄:千迅の地元。実在しないようなので特定できませんが、特徴は下記。
瀬戸内にある、山にメギがたくさん生えるほどの田舎、海辺の町(医院から前浜まで車で五分)、広島で在来線に乗り継ぐ
体格差
身長・体重・体格についてです。
【身長】
・最終予想
千尋170<晟175<正午≒有沢≒凜一175以上(凜一が高め?)<氷川180以上<暁方180以上
※千迅は不明だが、千尋と背丈が異なることから高め(180近く)だと思います。
(白昼)
※凜一が中3の時:氷川は180cm以上、凜一と20cm以上差がある
→凜一160cmいかないくらい、氷川180cmオーバー
※凜一が高1夏の時:背が伸びた凜一を見て正午が「前は同じくらいだったのに5~6cm差がある」と云う
→凜一165cmいかないくらい、正午約160cm
(碧空)
凜一:一年で10cm以上伸びた→175cmいかないくらい?
有沢:凜一よりやや高い→約175cm
暁方:高1で180cmは余裕であった→その後伸びていたら、だいぶ高い
千尋:すでに凜一に越されている→170cmくらい?
(彼等)
凜一:春の測定で175cmあったが、まだ伸びている
(若葉)
凜一:晟の背は越した→晟は175cmくらい?
正午:凜一に追いつく勢い→約175cm
【体重・体格】
・暁方以外の小椋家は痩身白皙
・そんな家系の千尋よりも凜一は痩せている
・正午は摂食障害のため、さらに痩せて華奢
・有沢はアメリカに行ってから筋肉質になったが、胸板は薄い
考察一覧
作成中。
・意味深シーンを考える
・飲み物・煙草・雨
・好きな人ランキング・異母兄弟と凜一
・身体vs精神、像